2013年6月23日、フルのトライアスロン(五島長崎国際トライアスロン。バラモンキング。スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km)に挑戦し、無事完走できました。
備忘録と、今後トライアスロンに挑戦される方へ、「鉄人への道」を連載していきます。
第6回は、最終回。最後のラン42.2kmの話です。
(である調で書きます)
いろいろミス
最後のランがスタート。
バイクの後のランは、足がうまく動かないことが多い。
ただ、最近はそういうことがなくなった。
バイクがうまくなったのか、バイクを限界までこいでないからかもしれない。
今回もさほど影響はなかった。
レッスンや本で学んだのは、人間の前太ももには疲れが残ってしまうこと。
バイクでもランでも前太ももを使わないことだけを考えるといいらしい。
逆に太ももの後ろは、いくら使っても疲れが残らない。
最近、それを実感できるようになった。
ランがスタートし、走って行くと、いろいろとミスしていることに気づく。
補給食を持って出るはずが、ほとんど入っていないのだ。
トライウェアのパンツのポケットには、最初から仕込んであったアミノダイレクトが2本、カフェイン入りジェルが1つ、ロキソニン、胃薬が1つずつという状況。
せめてジェルをもっと持ってきたかった。
ランはエイドもあるので、必要ないかもしれないが、ちょっと心許ない。。。
少し進むと、五島の友人夫婦が応援してくれていた。
「ラン、得意でしょ?がんばれ〜」と激をもらう。
まあ、比較的得意ではあるのだが、すでに8時間近く動いていて疲れもあり、何が起きるかわからない。
怖いのは故障。
過去、フルマラソンには、4回出ているが、そのうち2回は途中で大きくペースダウンしている。
脚や股関節の故障のためだ。
いずれも25kmから30Kmくらいで発生。それ以降は歩いたり、脚をひきずって走ったりせざるを得なかった。
直前の練習でも、スイム、バイク中心で、ほとんど走っていなかった(特に長距離)のも気になっていたのだが、もう今となっては走るしかない。
救いは、通常のフルマラソンよりもペースが遅いこと。
通常は、1km5分半くらいで走るが、今回は7分でいい。
1km7分だと、約5時間。1km8分だと5時間半ちょっと。
残り時間は5時間20分ほどなので、1km8分だとアウトとなる。
さらには、途中で関門もあるため気が抜けない。
序盤は、1km7分を目指して走った。
GPSウォッチでは1kmごとにバイブレーションでタイムを教えてくれるように設定している。
愛用しているガーミン910XTは、スイム、バイク、ランを通じて使えるすぐれもの。
スイムが終わったらスイッチを押してバイクモードに切り替え、バイクが終わってスイッチを押してランモードに切り替えると、3種目を計測してくれる。
スネが痛い・・・。
1kmほど進んだところで、トラブルが発生。
両脚のスネが痛い。
こんなところ痛くなったことはないのだが、バイク&山道の影響もあったのだろう。
止まってもんだりするがなかなかおさまらなかった。
ロキソニンはバイクが終わった後に飲んでいるので、まだ飲めない。
痛みに耐えつつ、走るしかなかった。
ランのコースはやっぱりアップダウンがある。
うろ覚えだが、大きな坂が3つ。
作戦としては、のぼりは歩いて、下りはきっちり走るようにした。
これは、トレイルランの経験がきいている。
トレイル、山を走るときは、のぼりはしっかり歩く。
ひざに手を置き、小股で上半身をおこして歩くと楽にすすめる。
重要なのは、のぼりが終わったらすぐ走り始めること。
のぼりが終わったときに一息ついて、だらだら歩いていてはいけない。
今回もその作戦でいった。
のぼりを無理に走っても疲れるだけで、歩いてもそんなにスピードは変わらないのだ。
42.195kmのコースは、14kmのコースを3往復するというもの。
7km走って折り返し7km戻ってくる。これを3回繰り返す。
単調でつまらない反面、選手とすれちがうことができるのはメリットだ。
序盤のタイムはこんな感じ。スネの痛みもあり、序盤は7分半くらいのペースが続く。
これでは時間内完走は結構きわどい。
挨拶作戦も引き続き実行。
ランだと心拍も上がり、声を出すのがつらくなるが、それでもあえて「あざっす」「ありがとうございます」と応援にこたえていた。
エイドでも、「いただきます」「ありがとうございました」を繰り返す。
雨も強くなってきたが、応援の数は減らない。
本当にありがたい。
アミノダイレクトで復活
前の方を走っているチームメイトともすれ違いだした。
うれしいとともに、プレッシャーも感じる。
脚が痛かろうと疲れていようと、なさけない姿は見せられない。
お互い疲れているだろうに、すれ違うときは、コース中央に出てきてハイタッチをする。
今回、Aタイプには13名出場。
いろんなチームがあるが、本当にこのチームでよかった。
チームのユニフォームをデザインしてくれた仲間は、この2月に亡くなっている。
51歳という若さだった。
トライアスロンを愛し、楽しんでいたにもかからわず、そういうことが起こりうる。
「人生は有限」ということを改めて感じた出来事だった。
4月からのチームの新ユニフォームは、彼の最後の作品なのだ。
このユニフォームに恥じないようなレースをしていきたい。
トライアスロンに限らず人生すべてにおいて。
特に、自分にあわないこと、やりたくないことは切り捨てたいものだ。
1往復目の折り返し、7km地点。
なけなしのアミノダイレクトを使うことにした。
アミノ酸は筋肉疲労にきく。
フルマラソンでは10kmごとに飲むし、レース後の回復にもいい。
スネの痛みが、筋肉疲労なら効くはずだ。
半ば祈りながら、アミノ酸を飲み、走っていると、痛みが消えた。
ラップタイムも6分台が出るようになり、それ以降は目立った痛みなく走れたのは幸運だった。
2往復目。時刻は18時頃。
痛みがない状態でも疲労がたまっていた。
すると、さっき折り返しであったチームメイトがもう追いついてきた。
すさまじい速さだ。
彼は、最終的に最後のフルマラソンでサブフォー(4時間切り)を達成していた。本当にすごい。
その彼が抜きざまに、「ペースを上げ下げしない方がいい」と檄をくれた。
抜く前に後ろから見ていて、私のペースが不安定なことに気づいたのだろう。
こういう檄は本当にありがたい。
以降、ペースを一定にすることに気をつけた。
「走っているときに何を考えているの?」
「退屈しないの?」
とよく聞かれるが、結構考えるべきことは多い。
フォームは崩れていないか
力が抜けているか
次の補給はどうするか
などをずっと考えてる。
ゴールはどんなポーズではいるか、完走したらブログの見出しはどうするかなども考えていた(笑)
無理に我慢ぜずトイレにも立ち寄りながら、ひたすら走って行く。
周目のラップはこんな感じ。トイレや坂以外は6分半で刻めていた。
まだまだ油断はできない。
フルマラソンで俗にいう30Kmの壁もあるからだ。
(30Km以降、急にペースが落ちる)
途中、別のチームメイトに抜かれる。
それが刺激になって、着いていき、しばらくランデブー走行できた。
そのおかげでペースを持ち直せ、私が前に行くようになった。
あまりにくっついていたからか、女子中学生に「お、おそろい?」と意味深に笑われる場面も。
うちのユニフォームはピンクが入っているし、彼も私も、濃い顔立ちなので、なにか誤解されたかもしれない(笑)
補給戦略
21km地点では、アミノ酸、ロキソニン、胃薬を早めに投入し、28kmくらいではカフェインジェルも飲んだ。
こういうときに、ほんと仙豆がほしい(^_^;)
これで手持ちの補給食は全部使ってしまった。
数kmごとにエイドがあり、かならず補給。
塩、オレンジ、スポーツドリンクは必ずとった。
暖かいスープもあり、種類も豊富で、すばらしいエイドだった。
大会によっては、補給が少なく苦戦することは多い。
今回のエントリーフィーは3万円。
高いと思いがちだが、これだけのエイドやスタッフの方の多さを考えると、ボランティアで支えてくれる方のおかげもこの値段に抑えられているのだと思う。
暗くなってきたが、気温は高い。
後半は、頭から水をかぶるようにした。
コーラ解禁
エイドにはコーラがあった。
運動中にコーラなんて・・・と思っていたが、これがきく。
ただ、最初からコーラを飲んでいると、ずっと体が欲してしまうとの情報を直前に得ていた。
血糖値が急に上がるのでよくないらしいのだ。
そこで、コーラを30Km地点まで温存することにした。
ようやく30Kmすぎにコーラ。
ホントにうまい。
これ以降はコーラも飲むようにした。
おなかがすいてきたので、エイドで、五島名物のかんころもちも食べ始める。
他にはクッキーも。
このクッキーはかなりおいしく食感もよかった。
あと1往復。14km。
時間は19時半頃。
あと14kmを2時間かけて走ってもゴールはできる。
すっかり暗くなり、雨もときおり厳しくなっていた。
水たまりも多く、避けて通っていたが、足下が見えずに何度か入ってしまう。
シューズがぬれると重くなるのでよくないことだ。
水はけがいいといわれるトライアスロン用シューズも一度試してみたい。
対面の選手も見えにくくなってきたが、それでもチームメイトには気づく。
残り14kmをうさぎの帽子をつけて走ったチームメイトともすれ違い、癒やされた(^_^)
彼は、この5月に東京〜新潟までをそのうさぎ帽子で走った。
520kmである。
途中、股関節を中心にストレッチを多めに入れた。
フルマラソン時の経験で、痛くなる前にストレッチを入れると長持ちする。
結果、ラストの40km、41km地点でも6分半で走れた。
14時間41分でゴール
最後の坂を終えて、あとは平坦な道だけとなった。
脚も快調なので、なんとかゴールまで間に合いそうだ。
多くのことは考えられないので、気をつけたことは1つ。
ピッチを小さくすることだ。
小股で、回転を速くして走った方が疲労は少ない。
疲れてくると、どうしても大股になりがちなので、ちょくちょく修正していた。
本来は腕の振りや肩甲骨から力を抜くことも考えなければいけないが、そういう余裕はなかった。
ゴールが近づき、キャップをとってユニフォームにしまった。
問題はゴールシーン。
せっかく走りきるのだがら、「ゴールテープをがばっと持ち上げたい」と思っていた。
これが意外と難しい。だいたい失敗する。
前後の選手と近すぎるとできないのだ。
前の選手のすぐ後にゴールしても、後ろから選手がつっこんできてもうまくいかない。
後ろには選手がいないことをまず確認し、前との距離もとった。
前の選手がゴールし、テープを勢いよくきった。
そのせいか、ゴールテープの戻り(元の位置になる)が遅い。
「まずい」と思いつつ、応援の方々とハイタッチをしながら、ゆっくりとすすむ。
五島の友人もみつけ、しっかり握手、お礼をいう。
それでもまだ戻らない。
もうワンテンポ遅らせて、なんとか「ゴールテープがばっと」ができた(^_^;)
友人がとってくれた動画を見ると、後ずさりしたり、なんかお辞儀をしたり、タイミングをずらしていたのがわかる。。。
14時間41分でゴール。制限時間まであと20分ちょっと。
薄氷を踏む思いだった。
普段時間に追われない生活を心がけているが、こんなに時間に追われたのは久しぶりだ。
最終のランは、5時間1分。フルマラソンと考えるとまずまずだった。
ゴール後、うるっっとくるかなぁと思ったが、普通だった。
チームメイトと健闘をたたえ合い、固く握手した。
14時間40分、226km。40歳でこれだけ動けることに感謝したい。
丈夫な体に産んでくれた両親には改めて感謝。
希望をいえば、もうちょっと泳ぎがうまい体が欲しかった(笑)
まあ、これは今後またトレーニングして克服したい。
その後……
レース後、意外だったのは、思ったより体のダメージがなかったことだ。
完走を目標にペースコントロールしていたからだろうが、逆に言うともっとやれたということかもしれない。
それでもボロボロ、ぎりぎりでゴールするよりも、最後まで気持ちよく走れることも目標としていたのでよかったと思う。
改善点も明らかになり、次回に活かしたい。
特にスイム。
引き続き海にも練習に行き、オーシャンスイムのレースにも参加する予定だ。
翌日、長崎の友人が経営する整体でお世話に。
その翌日(火曜日)は、太ももが少し重かったが、プールで泳ぐとすっかりよくなった。
モチベーション的には、達成した反面下がっていて、「もうしばらくロングはいいや」と思っていたが、木曜日辺りからまた出たくなってきている。
今シーズンは、まだまだレースがある(オリンピック3つ、ミドル1つ)ので、1つ1つをしっかりこなして、来シーズンのロングに備えたい。
まずは7/7の故郷宮崎でのレースだ。
トライアスロンに挑戦したいと思っている方がいたら、ぜひ挑戦していただきたい。
一度やってみないとこの醍醐味はわからないからだ。時間、お金、いろんな制約があるが、その制約の中で挑戦しないといつまでたっても体験できない。
心、体を極限まで追い込むこのスポーツは、年齢を重ねるほど、挑戦しづらくなる。ましてや定年になってからはじめようなんててきないのだ。
才能、センス、身体能力にもよるだろうが、トライアスロンは、きっちりトレーニングをつまなければ完走できない。
逆にいえば、きっちりトレーニングすれば完走できる。
興味とやる気があれば、誰でも挑戦できるはずだ。
「来年はブレイクして、トライアスロンをやる時間がなくなるかもしれない。だから、今できる限り楽しもう」と私は思っている。
毎年こういっているのだが(^_^;)
ちなみに消費カロリーは次のとおり。
・スイム 867
・バイク 6,853
・ラン 3,377
多いとみるか少ないとみるか難しいところだが、レース後、自宅で体重を量ったら2kg弱増えていた。
食べながらのレースなので体重は減らない。むしろ体重が減るようなレースだと最後までもたないだろう。
トライアスロンでダイエットというのは、あくまで副産物だと思う。
腰回りの肉がとれて引き締まったが、体重は、トライアスロンをはじめる前の5kgマイナスくらいである。
それでも標準体重のプラス7kgくらいなのだが。
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思った以上に長くなりましたが、ご愛読ありがとうございました!
明日から通常更新に戻ります。
■著書
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