本をはじめて書くなら、知っておきたいこと

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本をこれまで書いてきた経験が多少なりともあります。
本をはじめて書くときに知っておいたほうがいいかなという思うことをまとめてみました。

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※お客様が持ってらっしゃった私の本 iPhone X

「本を書く」という競技

「本を書く」というのは、競技のようなものと考えています。
スイム、バイク、ランのように。
いずれにしても楽に終わりません。
これはタイプにもよるのでしょうが、私の場合は、これまで10冊書き、今も書いていて、毎回苦戦しています。

・時間がそれなりにかかる
・体への負担もある
・プレッシャーがある
のが「本を書く」ということだからです。

命を削って書いているともいえます。

先日提出し、今、最初のチェックが終わった本(2018年11月発売予定)は、Wordで11万字でした。
ここからだいぶ削りましたので、多めではあったのですが、5万字から7万字は必要でしょう。
(この本は、文字だけで読む本なので、文字数は多めでした)

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それでも本を出したいと思って、企画がとおり、実現にむけて一歩踏み出したわけですから、ぜひとも発売までたどりつきたいものです。
途中で書けなくなることも多い中、完走を目指して書いていきましょう。

本を書くおおまかな流れ

本を書くおおまかな流れはこんな感じです。

出版社にて本を出すことが決まる

打ち合わせ(だいたい決まった後に1回、編集者さんと打ち合わせします)


目次を再度見直し、煮詰める

書き始める(編集者さんによって、章ごとに出す場合、終わったから出す場合があります)
書くのは、Word、テキストファイルなどです。
私は、Scrivenerというソフトを使っています。
今度出る本の1冊は、音声入力で書きました。

1回目の提出(編集者さん、校正さんのチェックが入ります)

1回目のゲラを受け取る(ゲラとは、本の形で印刷された原稿)
このときに打ち合わせをすることが多いです。
ゲラをチェックし、自分で修正していきます。

今やっているのは、PDFにSurfaceBook 2のペンの手書きです。

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紙で受け取ると、持ち運びが大変ですが、最初のゲラチェックは、紙でやったほうがやりやすいときもあり、その都度相談して決めています。
11月に発売予定のExcel本は、図も多く、紙でやったほうがやりやすかったので、紙に消えるボールペンで赤を入れました。

このときに、もし、まとまった修正があるなら、原稿に①と番号を振り、それをテキストデータ(またはWord)で準備したほうが効率的です。
私は字がきれいではないので、そのほうが編集者さんも助かるかと。

2回目の提出

2回目のゲラチェック

3回目の提出

ゲラチェックはだいたい2回です。
必要があれば、3回、4回とあることもあります。

書くこと自体はここで終わりです。
タイトル、値段、部数が決まり、書店に並ぶのを待つだけです。

本をはじめて書くときに知っておきたいこと

こういうことを知っておいたほうがいいのかなぁと思うことを書いてみました。
人、出版社により多少違うかとは思いますが。

契約

本を最初に書いたとき、「本当に出るのか」と不安でした。

契約も何もなく、「決まりましたよ!」という連絡があり、「やった!」とは思いつつも、「書き上げて本が出ないってことはあるのかなぁ」とも。

特に最初の本は、1年2か月ほどかかったので。

業界的にこういうものと思っておきましょう。
契約は、本が出る直前くらいに一応あります。
(そういえば、ないやってところも…‥)

どの出版社も大丈夫!とはいえませんが。

心配なら、契約をお願いするのも手でしょう。

書き上げて出版が中止だったら、Kindleにして出せばいいやとも思っていますし、そのときに書いた経験は残ります。
まあ、そうとはいっても、書いたなら出したいのですが。

印税の条件

印税の条件は、企画段階で確認しているかとは思うのですが、もし確認していなければ再度確認しておきましょう。

印税=部数×印税率×価格
で、

・部数は、刷った部数か、実売部数か。
・印税率は?初版と重版で同じか、異なるか
・価格は、どのくらいで出す予定か

そして、
・印税の支払タイミング

を確認すべきです。

発売当月の末日にお支払いいただくこともあれば、特殊な計算式があるところもあり、数か月後のこともあります。

タイトル、表紙、部数

よほどのことがなければコントロールがきかないのが、タイトル、表紙、部数です。
タイトル、表紙の意見を求められることもありますが、基本的には、出版社側で決まります。
(一緒に考えるケースもあります)

えーーーと思うタイトルもあれば、表紙もありました。
売れれば、愛着がわくものですが。

部数は、おまかせです。
少なく刷って、重版(2回目以降も刷る)を狙うケースもありますし、期待値が高ければ多く刷ってくださることもあります。

最初の本だと、だいたい渋めかと思います。

発売時期

発売時期は、どうしてもこの時期!というのがなければ相談できます。
繁忙期(ないほうがいいのですが)を避けたり、仕事やプライベートの予定で調整したりは十分可能です。
3月に出したい(期末に合わせて)、12月に出したい、4月に出したいというケースもあります。

出版社の本音としては、早く書いて早く出したいというところでしょうが。

ただし、発売時期が決まると、それに合わせて書店営業や告知の手配をするので、もう動かせません。
だいたいゲラチェックの段階で発売時期が決まるので、決まってしまうと、1週間単位で、チェック→提出のスケジュールが決まります。

多めに書いて削るほうが楽

分量は、本の体裁(大きさ、余白、文字数)や図や表を使うかにもよります。

1ページの字数×行×ページで、だいたいの文字数は決まるので、それを確認しておきましょう。
本には、目次や章ごとの扉もあるので、250ページくらいの本でも、230ページほどになる場合もあります。

この文字数よりも多めに書いて削るほうが楽です。
足りなくて継ぎ足していくよりも、削りつつ整理するようにしており、これまで書き上げて足りなかったのは、2冊だけでした。

重版の意味

重版、2回目以降も本を刷ることです。
(増刷という言い方をするケースも)

重版率は、3割ともいわれています。
そして、重版があってこそ、出版社は元がとれるとも。

真意はわかりませんが、重版になると、その分の印税は入ってくるので、双方がうれしいものです。
ただ、印税生活なんてものは望めません。
周りにも自分にもくぎを刺しておきましょう。
本を出すと儲かっていると思われるので。

印税率のしくみを考えると、その理屈はかんたんに理解できます。

1,620円×3000部×10%だと、486,000円。
これだと条件はいいほうです。
1,620円×1000部×6%だと、97,200円。
部数も印税率も渋めになっている今、印税だけでは食べていけません。

自分の仕事の1部門、出版業と考えましょう。

ブログの扱い

ブログをやっていて、本が決まるケースも多く、むしろブログの意味は、出版につなげることでもあります。
何が書けるか、どう書けるかを示さずして、依頼する側も依頼できません。
本を書いているときのブログは、悩みどころです。
ただ、「ブログを書く」と決めているなら、本を書いていようがなんだろうが書き続けましょう。
本とは別のテーマで書くこともできますし、それがないなら開拓するチャンスです。

ブログで本の告知もできます。
「本があるのでブログを休みます」もありでしょうけど、私は、そうしたくないので、書き続ける派です。
そもそも告知のときだけブログやメルマガを出すのは効果がありません。

本を書く期間、ブログを休んでいれば、ブログ筋力も衰えます。
そして印税をいただける本、無料のブログという区分けでは、もはやないはずです。
両立は十分できます。

発売と告知のタイミング

本の告知のタイミングは、編集者さんに相談しましょう。
早めがいい、本が出るちょっと前、本が出てからなど、いろんなタイミングがあります。

インプットの扱い

本を書く、つまりアウトプットが増えると、インプットが減りがちです。

しかし、アウトプットとインプットは双璧。
本を書いている間もインプットは欠かすべきではないでしょう。
企画の段階でも類書(同じような本)の研究はしているでしょうが、本を書きつつ引き続き研究は必要です。

効率的に書く工夫

効率的に書く工夫も必要です。
・Wordのアウトライン機能を使う
・マインドマップで整理する
・スニペットツールを使う
・タイピングスキルを磨く
・ショートカットキーを使う
・スマホでメモする仕組みをつくる
などといったことをやってみましょう。

音声認識入力がメリットになりえるかは慣れ次第ですが、私は原稿が進みました。
それまでにずっと研究しつつ、使ってきていたからという事情もありますが、試してみる価値はあるでしょう。

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軸足を決めておく

本を書く軸足は決めておいたほうがいいでしょう。
軸足とは、本を仕事につなげたいのか、そうでないのかということです。

他の仕事につなげたいと思うなら、躊躇して書かないことが出てきてしまいます。

そうすると、結果的に売れないことにもなるでしょう。

その本のテーマでその時点の自分をどれだけ出せるかが、何を残せるかにかかわってきます。
売れるかどうかはまた別の話であり、自分を出せるかどうかが読者にも自分にも残るものが変わってくるものです。

本を出すと自分の人生・仕事も変わるから要注意。『新版 ひとり社長の経理の基本』重版 | EX-IT

プロのアドバイスと自分の思い

本を書くときは、出版社、編集者さんとのチームワークも重要です。
ひとりで仕事をしていても、これは重要視しています。
「チームワークとか苦手じゃない?」と思われるかもしれませんが、常に一緒にいるわけではないですし、本をいうプロジェクトの期間に限り仕事をするのは、むしろ好きです。

出版の依頼をいただくときも、通常の仕事と同様にルールをつくっており、編集者さんに違和感があったらお断りするようにしています。

出版は、プロのアドバイス、ことばの使い方、構成の考え方、表現の仕方などを勉強させていただくことができる貴重な機会です。

(出版という仕事をする理由の1つです)

自分が書いた文章を編集していただき、意見をいただくという機会は尊重しましょう。

ただ、ただ、自分の考え、思いと違うときは、遠慮なく言うべきです。
言い回しは、出版社ごとに表記のルールがあり、どうしようもないこともありますが、自分の考えが誤解されるような表現はさけましょう。
(たとえ、そのほうが売れるとしても)

そのバランスが難しいところですが、バランスがとれたときのほうが評判はよく、売れています。

時間が必要

本を書くのに、なんだかんだ時間は必要です。

仕事の効率化は欠かせません。
プライベートをつぶしすぎるのはよくなく、効率化する余地がある仕事のほうに目を向けるべきでしょう。
私は、2009年7月から本を書く生活となりましたが、そのおかげで効率化がすすみましたし、仕事を断ることもできましたし、仕事の入り口を考えるいい機会にもなりました。

何のために本を出すか

楽ではないし、印税生活が待っているわけではない出版。
何のために本を出すかが大事です。
それがないなら、書かないほうがいいでしょうし、その時間を使って他の仕事をやってほうが効率はよくなります。

私の場合は、それでも本を出す理由があるので書いているだけです。
本でしか伝わらないこともあり、本だからこそ知っていただける、本だからこそ残るものがあるので、これからも書いていくと決めています。

本を書いて、店頭に並ぶまでを経験しないと、この感覚は得られませんし、本を書く意味があるかどうかもわかりません。

ぜひとも最初の本を書き上げていただければ。

このように、付箋や線を貼った本をお持ちいただけたり、

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数年前に出した本を今でも店頭に並べていただく感動をぜひ味わっていただければ。

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出版業 アーカイブ | EX-IT


■編集後記

昨日、GoProの新型が到着しました。
愛用しているGoPro。
2015年から買い替えてませんでしたが、今回は性能がアップしているとのことで、買い替え。
早速、娘を撮りました。
満足の性能です。

■昨日の1日1新
※詳細は→11新」

GoPro Hero 7 Black
Mac OS  Mojave

■昨日の娘日記

「帰るよ」というと、まだ遊びたいのか、泣きまねしたり、その場に座り込んだりします。
泣きまねとかどこで覚えるんだろうという感じですが。
昨日は、保育園帰りに1時間(通常5分)かかりました。
ちょっと前までは、「むこうにワンワンいるよ」というと、そっちに進んだのですが、最近は、さっと見て「いないねー」と通用しなくなってます。
なかなか手ごわい。

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