仕事もスポーツも日々のトレーニング<鍛錬>が欠かせないと思っています。
すぐに結果がでるものではありませんし、継続するのが、精神的にはつらいこともあります。
そのメカニズムを解明してくれた本がありました。
経験だけではない
ずっと考えていることがあります。
「人の能力・成果は経験だけではない」ということです。
組織で経験を積んだ人が昇進していくというのに、なにか違和感を感じていました。
特に私が最初に務めた総務省は、国家公務員。
基本的に何もしなくても昇進・昇進していきますし、解雇もありません。
何もしていないおじいちゃんが、<永年勤続30年>で表彰されるのを見て、「おかしい」と感じていましたし、1年先に入った先輩がたいしたことがなくても基本的にその人より給料が高くなることがないことにも疑問を感じていました。
いまや崩壊しつつある<年功序列>という制度はいい面もあれば悪い面もあります。
経験年数のみで人の成果を測ることは難しい気がするのです。
そんな感じで不満をかかえていた公務員をやめましたが、その後に進んだ税理士の道でも同様のことがあったのです。
税理士としての経験がある方でも、必ずしも尊敬できるとは限りませんでした。
もちろん経験に裏付けされたものもありますが、税法の知識や仕事のやり方など、決して経験だけでは測れないものがあるとなんとなく感じたのです。
本書にも
”経験豊かな人と経験が少ない人との能力には格別差がないことが明らかになってきた”
という表現があり、
”会計監査に従事して何年も実務経験を積んだ会計士の能力は、企業の粉飾発見の訓練を受けたばかりの新人会計士の能力とあまり差がないという調査結果が出ている”
という例も挙げられています。
(こっそり書くと、経験年数、経験豊か、創業○年で税理士を選ぶのは間違っています(^_^;))
しかし、「この人にはまだ勝てないなぁ」と思う方は、経験を積んでいる方が多いです。
経験を単に積むだけではなく、しかるべき経験を積む必要があるのではないか?と考えていました。
日々をたんたんと過ごすのではなく、より深く考え、整理し、自分の血肉にしていくことが必要なのでしょう。
これは、<経験>というよりも<鍛錬>と呼ぶものではないかとこの本を読んで思ったのです。
究極の鍛錬
「習うより慣れろ」とよくいいますが、がむしゃらにやっても効果が薄いことが多い気がします。
本書でも、
”自分たちのフレームワークは練習すればうまくなる「 習うより慣れろ 」という考え方に基づいたものではない。もしろ高度に具体化された究極の鍛錬という考え方に基づいている”
といっています。
<究極の鍛錬>とは、次の5つの要素からなるそうです。
1 しばしば教師の手を借り実績向上のため特別に考案されている、
2 何度も繰り返すことができる。
3 結果に関し継続的にフィードバックを受けることができる。
4 チェスやビジネスのように純粋に知的な活動であるか、スポーツのように主に肉体的な活動であるかにかかわらず、精神的にはとてもつらい。
5 しかも、あまりおもしろくない
効率と非効率のはざま
物事を習得する際には、最短かつ効率的な方法を求めがちでしょう。
そういう方法があれば、私もそうしたいです(^_^;)
現実は、一見非効率な日々の鍛錬が必要です。
ただし、鍛錬の効率的な方法は学ばなければいけない気がします。
前述した<究極の鍛錬>の要素にある、「しばしば教師の手を借り実績向上のため特別に考案されている」というのがそうでしょう。
プロの手による効率的なカリキュラムやプログラム、知識を学び、その方法を繰り返し非効率に鍛錬することが求められます。
これが逆になることも多いでしょうね。自分なりの非効率な方法を効率的に鍛錬しようとして成果がでないケースもありますし、私もやってしまいがちです。
多少なりとも私として成果のあったものは、やはりプロに習っています。
税理士試験では、専門学校に通い、学んだ方法をひたすら繰り返しました。
トライアスロンでもスイム、バイク、ランそれぞれマンツーマンレッスンを受けています。
どちらかというと、<鍛錬>の重要性は、スポーツから学ぶことが多いですね。
読書やセミナーも<鍛錬の方法>を学ぶためにやっていることです。
このブログも鍛錬の1つですね(^_^;)
これまでの記事でも<鍛錬>については取り上げてきました。
<トレーニング>という表現にしています。
・自分に対するルールはトレーニングになる | EX-IT
・「真剣勝負」と「トレーニング」ー30kmマラソンー | EX-IT
私の鍛錬好きは、心のバイブル『ドラゴンボール』の影響が強いです。
漫画って、急激にパワーアップすることが多いのですが、『ドラゴンボール』ではしっかり鍛錬(修行)します。
重力を100倍にしたり、師(亀仙人、ピッコロ、悟空など)についたり、ひたすら繰り返したり、フィードバックを得たり(強敵に負ける)・・・・・・と<究極の鍛錬>の要素を満たしています(^_^)
私がセミナーをやっている理由も、<究極の鍛錬>の要素の1つ、「しばしば教師の手を借り実績向上のため特別に考案されている」を提供するためです。
すぐに身につくスキルもありますが、やはりセミナー後の鍛錬が必要なものの方が多いでしょう。
「このセミナーを受ければ、みるみるExcelができる!」と言った方が集客的にはいいのかもしれませんけどね(^_^;)
本でも「すぐできる!」「魔法の〜」といったタイトルのものが売れ筋ですが、そんな魔法のようなものはないと考えた方が気が楽でしょう。
『究極の鍛錬』という地味なタイトルですが、是非手に取ってみてください(^_^)
昨日は終日打ち合わせ。
3月決算もめどがつきました。
まあ、ここから書類作成があるわけですけどね・・・・・・。
数字が固まれば、あとは税理士が地味に書類作るだけです(^_^)
■著書
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