パソコンのパーツを買って組み立てた場合の経理はどうなるか。
その考え方をまとめてみました。
※パソコンパーツ by Leica M10
モノを買ったときの経理の基本
モノを買ったときの経理は次のように考えます。
・経費にできるか
青色申告であれば30万円未満のものは「消耗品費」として一括して経費にし、30万円以上なら「工具器具備品」で減価償却(数年で経費。パソコンは4年)します。
細分化すると、
・10万円未満のものは、例外なく(青色申告かも関係なく)、一括して経費
・20万円以上30万円未満のものは、3年で経費(一括償却資産というもの)
・20万円以上30万円未満のものは、特例で経費。ただし1年(1事業年度)で累計300万円が限度。
ということになります。
色がついているところが「消耗品費」、ついていないところは、そうではありません。
これらをそれぞれ選べます。
通常であれば、
30万円未満なら「消耗品費」経費
でいいのではないかと。
特殊な場合、3年で経費(一括償却資産)というものを使ったほうがいい場合もあります。
・消費税込かどうか
上記の金額は、消費税込で経理をしていれば税込、税抜で経理していれば税抜で判断します。
消費税が免税または、簡易課税という方法で消費税を払っているなら、通常は、税込で経理していることが多いです。
・個別か合算かどうか
上記の金額は、1つの取引単位で考えます。
たとえば応接セットであればソファーとテーブルはセットで取引されている(売られている)、すべてまとめて考えるということです。
このセットがどうかは、パソコンの場合どうなるのか。
パソコンを買った場合、ノートパソコンやデスクトップパソコンならすでにセットになっているので、議論の余地なくその金額で判断できます。
パーツを買ってパソコンを自作した場合はどうなるかということです。
パソコンを自作したときの経理の単位
パソコンを自作するときは、 たとえば次のようなパーツをそれぞれ買って組み立てます。
・CPU
・メモリ
・マザーボード
・ビデオカード
・SSD
・HDD
・ケース
・電源
・Windows 10
・キーボード
・マウス
・ディスプレイ
・無線 LAN
必須のもの、そうでないものとありますが、例として挙げてみました。
では、これらのものを、「パソコン」としてまとめて経理するのかどうか。
または、それぞれで経理するかどうか。
それによって、一括して経費にできるかどうかが決まることもあるわけです。
例としてよく挙げられる、ソファーとテーブルの応接セットは、1つの取引単位として一括して経理するとされています。
“例えば、応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子が1組で取引されるものですから、1組で10万円未満になるかどうかを判定します。”
一方で、カーテンは、その機能で考え、
“カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、部屋ごとにその合計額が10万円未満になるかどうかを判定します。”
とあります。
大きな窓があり、そこにカーテンを1枚だけということは考えられないので、2枚なら2枚、3枚なら3枚単位で判断するということです。
その辺の根拠は、通達といわれるもの。
法律ではなく、こうやって処理しましょうという指針のようなものです。
また、以前書いた記事では、カメラでその例を考えてみました。
この記事に判例も挙げており、判例、裁判では、取引単位として考えています。
カメラ・レンズの経理。勘定科目・30万円未満の判断・中古。
これらを総合して考えると、やはり取引単位で考え、つまり別々に売られているかというのが基準です。
パソコンのパーツも別々で売られているものですので、それぞれ1つずつ経理すると考えていますが、リスクヘッジとして、必要最小限の構成(CPU、SSD、マザーボード、電源ユニット、メモリ、ケース、ディスプレイ、キーボード、マウス)は、一括して経理しておいてもいいでしょうね。
また、パソコン自作セットという形で売っている場合は、一括して経理すべきです。
なお、別々に会計する、別の店で買う、違う日に買うなどといったことは、一括で経理するかどうかとはまったく関係のないものです。
そういったことで経理の方法が可能であればいくらでも基準が変わってしまいますので。
パソコン自作で30万円超えるかどうか
とはいえパソコン自作で、新規でパーツをすべて買ったとして、30万円を超えるかどうか。
ノートパソコンやデスクトップパソコンでは30万円超えることも珍しくありません。
私が使っているVAIO SX14も30万円をちょっとだけ超えています。
じゃあパソコン自作をしたときに30万円を超えるかどうか。
そもそもパソコンを自作する目的の1つは安く買うということ。
パーツごとにどこを重視するかを選ぶことができます。
重視するところは当然高くなりますので、目的に応じて強弱をつけることができ、安くできるのです。
手持ちのパーツを利用するということもできるでしょう。
ディスプレイは今持っているもので代用するとか。
たとえば、性能をそれなりに追求したとしても、こんな感じになります。
(マウスは手持ち。キーボードはとりあえず)
CPU | AMD Ryzen 9 3900X BOX | 60,280 |
---|---|---|
メモリ | F4-3600C16D-32GTZNC(DDR4 PC4-28800 16GBx2) | 23,870 |
マザーボード | ASUS TUF B450-PRO GAMING | 10,280 |
ビデオカード | MSI GeForce RTX 2060 SUPER VENTUS XS J OC [PCIExp 8GB] | 44,528 |
SSD | サムスン 970 EVO Plus MZ-V7S500B/IT | 14,990 |
HDD | SEAGATE ST4000DM004 [4TB SATA600 7200] | 8,270 |
ケース | NZXT H510 Elite CA-H510E-B1 [マットブラック/ブラック] | 16,478 |
電源ユニット | Corsair RM850x CP-9020180-JP | 13,882 |
OS | マイクロソフト Windows 10 Home 64bit 日本語 DSP版 | 13,247 |
キーボード | サンワサプライ SKB-L1U | 683 |
モニター | LG 34WL750-B | 59,790 |
無線LAN | ASUS Archer TX3000E | 5,810 |
合計は272,000円。
30万円超えません。
(同等の既製品を買うと、35万円くらいになりそうです)
自作パソコンで、30万円超えないなら一括して経費にするかどうかで問題になるということはないでしょう。
(よく例に上がる応接セットも、そうそう30万円超えないでしょうし、バラで売ってないでしょうし)
ただ、経理の方法としては、パーツで別々に経理しておいたほうが、今後データを分析するときに役に立ちますので、別々におきたいものです。
性能をもっと追求すると、50万、100万になるのでしょうが。
本に載っていた例は、58万というものがありました。
パソコンを自作したときの経理をどうするかまとめると、
・30万円を基準に経理する(税込で経理しているなら税込)
・セットで売っているものを買った場合はそのセットの金額で判断
・全体で30万円を超えるなら、気をつける(最小構成で考える手も)
というところです。
10万円が基準と考えているケースも、そういう情報も多いのですが、青色申告しているなら30万円が基準と考えます。
■編集後記
昨日は、新しいディスプレイが届きました。
なかなかいい感じです。
ネタを重視して選びました。
LG 34WL750-B
■娘(3歳3ヶ月)日記
先日、うちのじいじ、ばあばとLINEをしているときに、なにかさわったのか、じいじ・ばぁば側にモノクロのフィルターがかかってしました。
たまにモノクロの写真を私が撮り、それを娘にみせると、「ばぁばみたい」と。
モノクロ=ばぁばというイメージができたようで……。
■著書
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