クラウド会計ソフトは効率的か。
2024年11月、先行体験がはじまった弥生会計Nextを含めて、まとめてみました。
※弥生会計Next by Sony α1+70-200mmF2.8Ⅱ
クラウド会計ソフトのメリット
現状(2024年11月)のクラウド会計ソフトは、freee、マネーフォワード、弥生会計オンライン。
最初のクラウド会計ソフトが誕生してから10年以上。
昔も今もクラウド会計ソフトのメリットは次のとおりです。
1 ダウンロード、インストールしなくてよく、ブラウザで使える(Macでも使える)
2 ネットバンクやカードとの連動がスムーズ
3 会計ソフトへの敷居が多少なりとも下がる
ダウンロードもインストールもしなくていいので、導入やパソコン買い替えのときに楽です。
複数のパソコンで使うこともでき、共有もできます。
Macで使えるのもMacユーザーには大きなメリットです。
ネットバンクやカードとの連動は、クラウド以外の会計ソフトでもできますが、やはりぎこちなく。
弥生会計オンラインは、クラウド会計ソフトではない弥生会計の延長なので、ぎこちないのですが……。
「スマート取引取込」はスマートではありません。
ダウンロード・インストールしなくてもいいこと、そして、これまでの会計ソフトと比べて見た目が多少いいことで(あくまで多少)、会計ソフトの敷居は下がりました。
ただ、「全自動」「経理の手間が半分に」「簿記を知らなくてもいい」というような売り方をしたのは、よしあし。
敷居は下げましたが、盛りすぎ、期待値を上げすぎなところもあります。
私が書いた本(『インボイス対応版 ひとり社長の経理の基本』)では、freeeを取り上げました。
これはfreeeがおすすめ!というわけではなく、どれかを取り上げるならfreeeかなという程度です。
マネーフォワードでもかまいません。
弥生会計オンラインは……。
本書のコンセプトとして、経理から決算、税務申告という流れがあり、freeeは税務申告ソフトもあるので、より適していたということもあります。
税理士以外の方が会計ソフトを選ぶ際に、どれがいいか?と相談されたら、freeeと答えることが多いです。
マネーフォワードはこれまでの会計ソフトの延長上であり、固い部分もあります。
税理士以外の方には、freeeのほうがいい場合も多いのです。
逆に、一般的に税理士にはマネーフォワードの人気があります。
私は、自動的に取引を登録できない(クリックする必要)があるだけで、好みません。
ただ、どの会計ソフトもその売り方は嫌いです。
囲い込んで度々の値上げ、ユーザーではなく税理士を取り込む、前述の煽りといったところが……。
(年5万円という税理士向け制度もあり、私は入っていません。お金を払えば払うほど紹介してもらえるという制度もありますが、興味なく、入りません)
そういったこともあり、どの会計ソフトとも距離をとっています。
それでも会計ソフトは、必須です。
どれかを選ばざるを得ません。
その選ぶ基準として、クラウド会計ソフトのデメリットも抑えておきましょう。
クラウド会計ソフトのデメリット
クラウド会計ソフトのデメリットは、囲い込み値上げが多いこともありますが、ブラウザで使うがゆえのものもあります。
それは、遅い、操作性がよくないということ。
クラウドではない会計ソフト、たとえば弥生会計と比べると、やはり遅いです。
また、ショートカットキーもほとんどなく、操作性は劣ります。
なんだかんだ弥生会計のほうが速いです。
比べればですが。
すべての取引をネットバンク、カードにして、自動取り込みの設定をきっちりしていたとしても、チェックはもちろん、修正、追加ということはあり得ます。
操作性の悪さがそういったときに響くのです。
私は、そういうときにはExcelを使っています。
Excelに入力して、それをクラウド会計ソフトへ取り込めば、速いです。
ただ、その取込(インポート)、そして、書き出し(エクスポート)も、弥生会計に比べると、クラウド会計ソフトは手間がかかります。
弥生会計だと、Alt→F→Iで取り込めますから。
クラウド会計ソフトを使う=効率化ということではありません。
修正が多いとかえって大変なことも。
「お客様にクラウド会計ソフトを任せると、ぐちゃぐちゃになる」という声も見聞きします。
ただ、だからといって、こちら(税理士側)で全部請け負うのも……。
私は、設定や伝え方を工夫しています。
昨今、高いということもクラウド会計ソフトのデメリットになりました。
相次ぐ値上げで。
昔は従来のクラウド会計ソフトよりも安かったんですけどね。
freeeは共有のユーザーを増やすと、年1万円ほど高くなるようになりました。
これがしれっと変わっているので気をつけましょう。
(税理士をユーザーとして招待すると高くなることも。)
従来の会計ソフトに比べて、値上げや値付けの罠があることも、クラウド会計ソフトのデメリットです。
更新も自動的にされますからね。
(単発のお客様でこれに泣いた方も。高くなってきましたし、そのお客様ではfreeeをやめていただき、Excel+αで経理をすることにしました。会計ソフトは私のものを使って)
そして、2024年。
弥生会計のクラウド版とも言える弥生会計Nextが登場しました。
後発の弥生会計Nextはどうか
後発(10年近く)の弥生会計Next。
正式なリリースは後日であり、値段も公表されていません。
他のクラウド会計ソフトと同じくらいにするとは書いてあります。
弥生会計のクラウド版というと、現状も弥生会計オンラインはありますが、これとはまったく別のものです。
弥生会計オンラインをないものとするのか、並行するのかわかりませんが。
さわってみた感じでは、弥生会計オンラインよりいいかと。
といってもfreeeやマネーフォワードから変える勝ちがあるかというとなんとも言えません。
安ければ別ですが。
弥生はID回りの使い勝手もよくありません。
なんとか登録して、使ってみました。
ネットバンクの取込は、意外とスムーズです。
推測精度も問題ありません。
AIというアイコンが嫌ですけどね。
ただ、やはりクラウド。
遅いし、ショートカットはありません。
(現状)
入力で、数字を入れるところは自動的に半角モードとなると便利なのですが……。
これは、他の会計ソフトも一緒です。
クラウド会計ソフトに入力しなきゃいいというのは事実なのですが、立替経費(役員借入金、事業主借)や売上データなどは、入力しなきゃいけない場合もあります。
そういったときのインポートは、今の弥生会計Nextではまだできず、評価できません。
1月以降できるようになるようです。
エクスポートの機能もなく、このままないと困ります。
会計ソフトの分析、資料は一切使いません。
エクスポートしてExcelで自分なりにつくっています。
CSV出力できないと困るのです。
現状の弥生会計Nextは、PDFへのエクスポートならできますが、PDFにしても……。
そろそろ、こういった紙のようなPDFにする(タイトル、出力日時、ページ数)のはやめてほしいものです。
CSVも同じような書式だったりしますけどね。
なんのためにCSVにするのか。
加工するためですので、余計な情報は必要ありません。
見た目はどうか。
この青は……。
こういうのも紙の名残でしょうね。
推移表で1年分見えないところも不便です。
せめて大きさを変えられればいいのでしょうが。
メニューが少ないのは逆にいい印象でした。
これから増えると他のクラウド会計ソフトと一緒になりますけどね。
この「こんにちは」とかいらないです。
弥生会計→弥生会計Nextにするかどうか。
弥生会計と弥生会計Nextは操作方法も違いますし、データをすんなり移行できたとしても、弥生会計Nextを選択する積極的な理由はありません。
データ移行は、弥生会計→freee or マネーフォワードでもできます。
新たに会計ソフトを使う方が、弥生会計Nextを選ぶことはあるでしょうね。
値段次第ですが。
ただ、最初は安くても値上げして結局他の会計ソフトと一緒になるかもしれません。
現状で会計ソフトを入れるなら、やはりfreeeでしょうね。
ただし、次のような条件があってこそ経理の効率化はできます。
・入力しなきゃいけないものは、ためすぎない
・Excel(スプレッドシートも可)も併用する(ときにはプログラミング)
・仕事量を増やしすぎない、複雑にしない(経理の手間が増える)
・通帳を使わない、ネットバンクにして最低でもデータ化
・現金での入金、支払をなくす(減らす)
・経費の判断基準を磨く
・数字のチェックを効率的に(推移表をExcelチェック、ピボットテーブル)
・請求書をさくっとつくれるようにしておく
・口座を増やしすぎない
・毎年のことを整理し、マニュアル・チェックリストをつくる
なお、私はスキャンをすすめていませんし、していません。
チェックも必要ですし、修正があったら手間もかかるからです。
スキャンの手間もありますし。
会計ソフトの前に、経理の効率化は決まっています。
経理の効率化は、会計ソフトだけに頼りすぎないようにしましょう。
■編集後記
昨日は、タスク実行デー。
午前中は小冊子講座の収録も。
海岸にかもめがくる時期になりました。
午後は写真を撮りつつ、スタバへ。
■1日1新→Kindle『1日1新』
居住者証明
法務局Web相談予約
ネビュラロマンス アップグレード申し込み
■娘(7歳)日記→Kindle『娘日記』・ Kindle『娘日記Ⅱ』
夕方、合流して一緒に帰宅。
おなかがすいたというので、朝つくった豚汁を出し、おいしく食べてくれました。
長ネギは苦手でやはり残していましたけどね。
■著書
『税理士のためのプログラミング -ChatGPTで知識ゼロから始める本-』
『すべてをがんばりすぎなくてもいい!顧問先の満足度を高める税理士業務の見極め方』
ひとり税理士のギモンに答える128問128答
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ひとり税理士の自宅仕事術
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