消費税の増税が決まり、消費税の負担は増えます。
この消費税をなんとか減らせないか?と思いがちですが、実は消費税は節税しづらいのです。
消費税のしくみ
目次
消費税を納税する場合とは
消費税は、前々事業年度(2年前と考えていいです)の売上高(消費税がかかるもの)が1000万円超だと、納税しなければいけません。
たとえば、2012年(2012年1月1日〜12月31日)の売上が1500万円だったら、2014年は消費税を納税する必要があります。
ここで勘違いしやすいのが、あくまで2014年は消費税を納税する義務があるだけで、消費税は2014年の業績で計算します。
2014年の売上高が1000万円以下でも消費税は納税しなければいけません。
消費税が免税になる場合
なお、次の場合、消費税が免税になります。
・個人事業主が開業して1年目、2年目
・会社を設立して1期目、2期目(資本金が1,000万円未満であることが条件)
※平成25年1月以降の場合、前年(前事業年度)の前半6ヶ月間売上高及び給与支払額が1,000万円超の場合は免税とならない制度が導入されます。
・消費税の免税制度の見直し【平成23年税制改正解説その7】 » EX-IT
消費税の計算方法
消費税は2つの計算方法があります。
1つは、売上だけから計算する方法で、簡易課税といわれています。
業種によって納税する消費税が変わります。
前々年(前々事業年度)の売上高(消費税がかかるもの)が5,000万円未満の場合のみ選択できます。
たとえば、税抜で売上1,000(サービス業)だと、1,000×5%の50が消費税であり、サービス業の場合、50×50%=25を納税します。
もう1つは、売上に関する消費税から経費に関する消費税を引いて計算します。
たとえば、税抜で売上 1,000 経費 600(うち人件費 200)だとすると、
・売上に関する消費税 1,000×5%=50
・経費に関する消費税 400×5%=20(人件費は消費税がかからない)
・納税する消費税 50-20=30
となります。
消費税を減らす方法
消費税を減らす方法を考えてみましょう。
○法人成り
個人で事業をスタートして、3年目に消費税がかかるのであれば、そのタイミングにあわせて会社(法人)を設立します。
いわゆる「法人成り」です。
これならば、消費税の免税期間が合計4年となります。
一定以上の利益であれば、個人にかかる所得税よりも法人にかかる法人税の方が節税の幅も広がります。
これは普通に認められていることです。
○法人から個人へ
では、逆に法人→個人となれば、やはり4年間免税となるのでしょうか。
これは免税となります。ただ、デメリットも大きいです。
法人で事業をやっていてなぜ個人になったかの対外的な説明も必要でしょうし、節税しやすい法人税から所得税を選択する理由もありません。
会社設立の手間も無駄になります。
現実的にはやらないでしょう。
○法人をつぶして、別会社を作る
消費税を納税しなければいけなくなったら、その会社をつぶして、また別会社を作ります。
その別会社の1期目、2期目は消費税がかかりませんので(前述の資本金や売上の基準に該当する場合)、理論的には2年ごとに会社をつぶして、設立すれば、ずっと消費税を支払わずに済みます。
ただ、現実的ではないでしょう。
まともに取引をしていれば、2年ごとに法人がかわるのは悪影響でしょうし、手間やコストもかかります。
夜のお店などでは、これをやっているケースもあるといいますが(^_^;)
○会社を分割する
消費税の対象となる売上を減らせば、消費税は減ります。
今ある会社の一部を分割して子会社を作れば消費税が減らせるとの考えもあるでしょう。
ただ、これは法律で制限されています。
分割前の会社で消費税の納税義務があれば、分割後の会社も消費税を納めなければいけません。
「そうは問屋がおろさない」というやつです(^_^;)
まったくの別会社を設立すれば・・・・・・。ただし、明確な理由なく消費税を回避するだけとみなされると税務署に認められませんし、会社を増やすと設立や運営コスト、決算時のコストや手間がかかります。
消費税のかかる売上を減らす
原則課税の場合、次のように売上に関する消費税と経費に関する消費税の差額を納税します。
売上に関する消費税を減らせば、納税する消費税も減ります。
ただ、このために売上を減らすのは本末転倒でしょう(^_^;)
○消費税のかかる経費を増やす(原則)
このように経費に関する消費税を増やせば、納税する消費税は減ります。
しかし、税抜10万円の経費(たとえば消耗品費)を増やしても、減らせる消費税は、5%の5,000円です。
消費税を減らすことだけを考えて、経費を増やすのは賢明な策とはいえないでしょう。
消費税のかからない経費、たとえば賞与を決算時に支払っても、消費税は減りません。
給料は消費税がかからない経費なのですが、これを外注費にすると消費税がかかってきます。
10万円(税込)の外注費を支払うと、消費税が4,761円減ります。(一定の場合には減らせる金額はもうちょっと少なくなります)
「じゃあ、給料じゃなくて外注費として支払おう」というのはみなが考えることなので、給料と外注費の区分に関する税務署からの指摘は多いです。
なんでもかんでも外注費にはできません。
外注費と認められるには、仕事の依頼方法や内容の変更、契約所等の整備など厳しい要件があります。
消費税をスムーズに納税するには
これまで見てきたように、消費税を減らすのは非常に難しいのです。
利益がマイナスでも、消費税だけ発生するケースもあります。
消費税をスムーズに納税するには次の3つが欠かせません。
・資金の準備
消費税の納税額をあらかじめ計算しておき、資金を準備しておく(積立ている場合も多いです)
・資金繰りを見直す
消費税を払うのが厳しい場合は資金繰りにどこか問題点がある可能性があります。見直してみましょう
・消費税を売上にきちんとのせる
売上に5%の消費税をきちんと加算しておかないと、納税が厳しくなります。
消費税率が8%になるときにも重要なことです。
昨日は、話題のロボットレストランへ。
なんかいろいろすごかったです(^_^;)
一度は行ってみることをおすすめします。
できれば、どんなものか知らないで行った方が楽しめると思います。
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