2014年(平成26年)、つまり来年の4月から消費税が上がります。
消費税について誤解の多い点について、今一度確認しておきましょう。
目次
1 売上が1000万円を超えたら、今期(今年)、消費税を払わなきゃいけない
「売上が1000万円超えた!消費税払わなきゃ!」
と思われることも多いのですが、すぐに払わなければいけないわけではありません。
消費税を支払うかどうかは、2期前(個人は2年前)の売上(消費税がかかる売上に限る)によって決まるのです。
今が、黄色い部分(2013.4-2014.3)だとすると、ピンクの部分(2期前の2011.4-2012.3)の売上が1000万円を超えているかどうかで、消費税を納めるかどうかが変わります。
今期(2013.4-2014.3)の売上が1,000万円を超えると、その2期あとの(2015.4-2017.3)に消費税を払うことが確定するのです。
これは納税義務があるかどうかの話で、計算自体は、その期の売上で計算します。
今期で考えると、
・2期前の2011.4-2012.3の売上が1,200万円→今期は納税義務あり
・今期の売上と経費で計算して、消費税を納める
となります。
今期、売上が1,000万円いってなくても、どんなに業績が悪くても、大赤字でも消費税を支払わなければいけないのです。しかも、そのときの税率です。8%だったら、8%となります。
法人税をはじめ会社の税金は、ほとんどの場合、利益が出ていると納税義務が発生し、その利益に応じて税金を計算します。
消費税は、納税義務の判定と計算基準が違うわけです。
ただし、1期目、2期目の法人は、2期前がないため、資本金が1,000万円以上かどうかで判断します。
その他、1期、2期目の法人は売上高又は給与の額による特例があり、免税にならない場合があるので注意しましょう。
[参考記事]
・消費税の免税制度の見直し【平成23年税制改正解説その7】 | EX-IT
2 個人事業主(フリーランス)へは消費税を払わなくてもいい
「個人だから消費税を払わなくてもいい」というわけではありません。
上記1の消費税の納税義務と、消費税をのせて請求するかどうかは別の話です。
支払う金額とカッコ内の消費税額を表にするとこうなります。
納税義務のあり・なし、消費税の請求する・しないによって、処理は変わりますが、個人か・法人かは関係ありません。
10万円の売上だと次のようになります。
①消費税納税義務ありで、消費税を請求する→請求額は105,000円で、納める消費税は5,000円(経費にかかる消費税を差し引きます)
②消費税納税義務なしで、消費税を請求する→請求額は105,000円で、納める消費税は0円
③消費税納税義務ありで、消費税を請求しない→請求額は100,000円で、納める消費税は4,761円
※消費税を請求していないから、消費税を納めなくていいわけではないのです。
④消費税納税義務なしで、消費税を請求しない→請求額は100,000円で、納める消費税は0円
①の場合、請求した消費税5,000円は、収入になります。
その分、法人税等はかかりますし、逆に経費にかかる消費税は差し引けません。
③の場合、消費税を請求していないので、請求額100,000円の5/105の消費税4,761円を元に納税額を計算します。
(経費にかかる消費税を差し引きます)
日本の今の消費税のシステムだと、相手が納税義務があるかどうかがわからないのです。
「納税義務ありますか?」と聞けませんからね。聞いたとしても、処理上は、100,000円払おうが、105,000円払おうが、その5/105の消費税額を計算で考慮します。
請求する側も、
「今期は消費税納税義務があるので、消費税請求します!」
「今期は納税義務ないので、消費税請求しません!」
というのでは事務も煩雑になります。
現実的には、最初の「100,000円」に消費税を含むのか、含まないのかをきちんと決めておくことが大事です。
のちのちお互いもめることになります。
消費税率8%、10%になると、この問題の重要性は大きくなるので注意です。
フリーランス(個人事業主)にとって、気をつけたいのは「税抜き」という言葉。
この「税」が消費税ではなく、源泉所得税(支払額の10.21%)である場合もあるのです。
自分で自分の身は守りましょう。
実は、前にこんなことがありました。
「個人からの請求なら、消費税はなし。源泉所得税を10.21%引いて払います」
「法人からの請求なら、消費税を載せます」
と。
私が個人(税理士事務所)と法人を持っているという事情もあり、このような話になりました。
もともとは税抜き○万円というオファーでしたのが、「税」が混同さえている例といえます。
消費税は個人、法人であるかは関係ないのです。
(法人の売上だったので法人で請求しました)
3 会計ソフト、システムは消費税率8%に対応している
来年4月から消費税が8%になると、ソフト、システム側の対応も必要です。
今、会計ソフトやシステムを入れれば、8%に対応しているものもありますが、古くから使っているなら、必ずしも対応しているとは限らないのです。
会計ソフトやシステムは消費税率がかわらない限り、そうそう変えませんからね。
次の点を確認しておくべきです。
○会計ソフト
4月以降の売上・経費は消費税率8%で計算できるか?
○請求システム
4月以降の売上は、消費税率8%で計算できるか?
バージョンアップの必要があるかどうか、コストはどのくらいかかるか、そもそも対応が可能なのかも早めに問い合わせておきましょう。
(当事務所のお客様は対策済です(^.^))
先日、紹介したクラウドサービスなら、こういった問題も解決できます。
従来のようにPCにインストールするのなら、インストールの手間もありますし、追加でお金がかかる可能性があります。
クラウドソフトなら、よほどのことがない限り、月額料金以外はかかりません。
freeeと従来の会計ソフトとの違いーネットで使える、Macでも使える、安い会計ソフトー | EX-IT
ネット上で請求書を作成・発送できるmisoca。いいと思った点8つと気になった点8つ | EX-IT
会計ソフトやシステムを変えるなら選択肢に入れておいてもいいでしょう。
当初の予定だと、すぐに10%へアップし、同様の問題が起きます。
そのたび費用やソフト購入ソフトがかかっては大変ですからね。
(気分的にも)
関連記事もあります。
あと1年!経営者・フリーランスが消費税8%に向けて確認しておくべきこと
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