話題の会計ソフトfreee、5社をじっくりコンサルした結果、わかったこと・使いにくいところ・注意点をまとめてみます。
会計ソフトfreeeの特徴
freee、そのコンセプトはすばらしく、旧態依然とした従来の会計ソフト業界に一石を投じるものです。
私も過去2回記事にしました。
freeeと従来の会計ソフトとの違いーネットで使える、Macでも使える、安い会計ソフトー | EX-IT
クラウド会計ソフト「freee」は税理士の敵? | EX-IT
freeeの特徴をまとめると、次のようなものがあります。
・法人は月額1,980円(個人は月額980円)
→従来は、数万円+バージョンアップ費用。ソフトによってはいまだに30万円以上。
・ネットバンク、カードのデータを自動で取りこめる(設定が必要です)
→従来は、ひたすら手入力
・Macでも使える
→従来は、Macで使えるいいソフトがない、仮想化ソフトが必要
・消費税増税(5%→8%→10%)にも追加費用なしで完全対応
→従来は、追加費用、バージョンアップ費用が必要な場合が多い
・PCにインストールせず、ネット上で使える
→従来は、インストール必要。ライセンス管理厳しく複数のPCで使えないものが多い
・どのPC(スマホ、タブレット)からも使える
→従来は、PCのみ
・会計ソフトに毎年バージョンアップ費用を払わなくてもいい
→従来は、たいして変わってないのにお金を取られる
・メールサポート無料
→従来は、保守契約が必要(有料)な場合が多い
・3人までのユーザーで使える
→従来は、かなり高くなる
freeeは特に、「全自動会計ソフト」とうたっています。
「全自動」って?
全自動ってどういうことでしょうか?
例をあげてみていきます。
たとえば、住信SBIネット銀行(ネット専業銀行)のログインIDとパスワードを入れると、
このように預金の取引を自動的に取り込んでくれます。
取引ごとに科目を設定しておくと、以後同じ取引があれば自動で取り込んでくれるのです。
しかもある程度は自動で科目をつけてくれます。
「利息」だったら「受取利息」、
「振込手数料」だったら「支払手数料」という科目を推測してくれるのです。
これを全自動と呼んでいるのです。
かなり楽ですし、何もしなくても会計データができます。
パターンを覚えさせれば覚えさせるほど、自動化が進むしくみです。
実は、私がやっている、そしてお客様に提供しているExcel会計も同じようなしくみになっています。
本当に全自動か?
「一度設定すれば、全自動で会計処理ができる」
夢のような話です。
ところが、そうはいきません。
罠がいくつかあります。
すべての金融機関に対応しているわけではない
自動取込は、すべての金融機関に対応していません。
法人のネットバンクは、セキュリティが過度に厳しく、freeeも苦戦しているようです。
最近、メガバンクでは、みずほが対応しましたが、三菱東京UFJや三井住友は対応していません。
地銀で対応していないところも多いです。
この2行はさらにセキュリティが厳しいので、今後も難しいかもしれないです。
「明細のアップロード」という方法は使えます。
(ネットバンクからデータをダウンロードし、アップロードする)
これを機にメガバンクやめるのも手でしょう。
手数料も高いです。
実際にコンサルのお客様で三菱をやめてゆうちょを開設、取引を移したケースがあります。
うちの会社でもメガバンクは使っていません。
住信SBIとゆうちょです。
住信SBIは自動振替ができませんが、ゆうちょはできます。
※ゆうちょは社会保険料の自動振替ができない点が唯一の欠点です。
法人でネットバンクを使うなら、無料のゆうちょ銀行がおすすめ! | EX-IT
ネットバンクじゃないと全自動にならない
全自動になるのは、ネットバンクを契約している場合です。
紙の通帳は当然連動しません。
メガバンクだとネットバンクを利用するのに、初期費用や月額(2,100円〜)がかかります。
ネットバンク手数料無料のネット専業銀行やゆうちょを使うといいでしょう。
過去のネットバンク取引は連動できない
これは、freeeではなくネットバンク側の問題です。
通常の金融機関のネットバンクは、ネットサービスの割に過去の履歴を見ることができません。
だいたい2ヶ月、少ないと1ヶ月前の履歴しか見れないのです。
(ネット専業であるジャパンネットバンクは5年、住信ネットは7年見ることができます)
freeeを使おう
↓
1年分の預金取引を自動で取り込めるぞ!
↓
あれ、ネットバンクで過去の履歴をみれない
↓
手入力(T_T)
といったことになるのです。
実際にコンサル時にありました(^^;)
これは個人事業主、フリーランスの方も注意が必要でしょう。
今度の確定申告の時に、まとめて取り込もうとしても取り込めないケースがあります。
自動にできない現金取引や立替は必ず生じる
本当に全自動にするには、
・すべてを預金取引、カード取引にする
・預金はネットバンクにする
・預金、カードはfreeeに対応している
の3つの条件を満たす必要があります。
現実的に、会社の取引は、現金で払うことも、社長が立て替えて払うことも多いはずです。
そういった取引は、手入力しなければいけません。
Suicaで払ったものも同様です。
モバイルSuicaならfreeeに対応していますが、iPhoneユーザーは使えません。
(スマートICOCAカードなら対応しているそうですが、現実的ではないでしょう)
意外にも、Paypalにも対応してないため、別の方法を考える必要があります。
以上の取引は、手入力又はExcelで作って取り込むという方法で記録しなければいけません。
しかし、freeeは
・全自動以外の取引の入力がやりにくい
・Excel取込がやりにくい、致命的な欠点がある
という特徴があります。
これらについては別記事で取り上げます。
まとめ
全自動のメリット、全自動でない取引記録のデメリットを考えると、導入すべきケースは限られます。
実は、ここ最近コンサルした5社中freeeを入れたのは、2社です。
従来の会計ソフトを導入したケース、Excel会計を導入したケースがあります。
ただ、全自動の楽さは魅力です。
freeeで全自動に対応している金融機関を登録
↓
データ変換
↓
他の会計ソフトに取り込む
という方法であるでしょう。
昨日は21時頃に家に着き、届いていた『真・ガンダム無双』の封を開けるも、眠くて1ゲームでダウン。
大昔は夜通しゲームできたのに。。弱くなったものです(^^;)
今朝は3時半から仕事してます。
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