預金通帳が、どのような流れで、決算書になるのか、その流れを理解しておかなければ、本当の意味で決算書を読み、数字を活用することはできません。
預金をデータにする
まず、預金の取引を、データにしなければいけません。
(手書きで決算書を作る場合は別ですが)
現状、その方法には、
1 誰かに入力してもらう
2 自分で会計ソフトに入力する
3 自分でExcelに入力する→その後取り込む又は税理士事務所に渡す
4 会計ソフトで連動させる(対応の銀行のみ。ネットバンクにしておく必要)
5 Excelを利用して取り込む(ネットバンクにしておく必要)
などといったものがあります。
お客様、そして私自身は、5の方法でやることが多いです。
(お客様では一部、3、4を使っています)
【関連記事】預金データを会計ソフトに取り込む方法(基礎編) | EX-IT
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預金を入力し、そのデータがどう集計されるか、その流れを把握するには、簿記の知識がやはり必要です。
といっても、本を読んだり、簿記検定を受けたりしてもなかなか身につかないことも多く、その勉強に取りかかるのも大変ではあります。
フリーランスやひとり社長は、どっちみち自分で経理をすることが多いので、自分の数字で学ぶ、そのしくみを体感するのがおすすめです。
私自身、税理士ですが、簿記にはかなり苦労し、簿記3級不合格、簿記2級合格、簿記1級不合格と簿記検定でいえば、負け越しています。
とにかくよくわからないのです・・。
だからこそ、実際の経理や会計ソフト、自分の数字で学んできました。
簿記が苦手でも、税理士ができるのは、Excelや会計ソフト、そして実際の数字があったからです。
理想の会計ソフトは、「簿記がわからなくてもなんとなくできる」ではなく、「使っているうちに会計のしくみ、簿記がわかる」というものだと思っています。
(今の会計ソフトの流れは、商売柄、前者に傾いているので危惧しています。)
これからずっと商売をやっていく以上、どこかで簿記、会計、数字、税金への不安を払拭すべきだと思うのです。
預金データを集計する
今回は、3の方法で、預金をまずExcelデータにしてみます。
まずは、左側に、通帳(預金)のデータを入力します。
入力するのは、日付、入金、出金、残高、科目、内容です。
通帳の記載どおりに入力し、科目は、その都度判断して入れます。
どんな科目を使うかは、ある程度のセオリーはあるとはいえ自由です。
自分がどんな数字を見たいか、集計したいかで判断しましょう。
フリーランス向けですが、こういった記事も書いています。
(ひとり社長の方も使えます)
【関連記事】経理がグッとラクになる!フリーランスの勘定科目大事典 | EX-IT
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①資本金の入金
ひとり社長の場合は、通常、最初に資本金を入れます。
5/1に、預金に入金があったので、入金欄に1,000,000を入力し、科目に「資本金」と入れましょう。
内容は、「設立」としました(まあ、わかればなんでもいいです)。
預金(普通預金)が増えたので、集計すると、まず普通預金が1,000,000増え、普通預金は、B/Sにあるので、その残高を増やすとこうなります。
B/Sに入れるか、P/Lに入れるかは、ある程度の知識と慣れが必要ですので、最初は、会計ソフトに適当にいれて、「あ、これはB/Sなんだな」と考えるくらいがちょうどいいです。
B/Sに入るようなものは、次のようなものがあります。
現金、普通預金、売掛金、前払費用、仮払金、備品、敷金、買掛金、未払費用、預り金、前受金、仮受金、借入金、役員借入金(自分が立て替えた分)、資本金
P/Lに入るようなものは、売上高、仕入高、役員報酬、給与手当、外注費、家賃(地代家賃)、支払手数料、会議費、交際費、法定福利費、支払利息などです。
○○費となるものは、すべてP/Lです。
今、普通預金を増やしただけだと、会計のルールを破っていることになります。
そのルールとは、B/Sの左と右の金額は一致すること。
図の青い部分です。
資産合計と負債・純資産合計が一致する必要があります。
しぶしぶ、右側にも数字を入れましょう。
普通預金が1,000,000増えたのは、資本金が増えたからです。
資本金にも1,000,000を入れます。
このように、何かが増え、その理由を記録する、何かが減り、その理由を記録するという2つの側面から記録するのが簿記です。
数字でお金の動きを表現し、かつ間違いがないようにする世紀の発見と言われています。
(まあ、世紀の発見だろうが、ややこしいのは確かで試験にも落ちましたが・・)
資本金を入力すると、左右が一致しました。
このように預金のデータを転記、集計していくのが会計の流れです。
②売上の入金
次に、売上50,000が、A社から入金されたとして、入力します。
預金データを入力し、
B/Sの普通預金を増やしてみました。
また、左右が一致しないので、何かをしなければいけません。
売上高は、P/Lに入る科目です。
(実際には、売掛金、つまり未回収の売上代金として処理することも多いのですが、便宜上、売上高とします)
P/Lに売上高50,000を入れて、利益を計算します。
経費は何も入っていないので、当期純利益が50,000です。
・売上高ー仕入高=売上総利益
・売上総利益ー販管費(経費)計=営業利益
・営業利益+営業外収益ー営業外費用=経常利益
・経常利益+特別利益ー特別損失=税引前当期純利益
・税引前当期純利益ー法人税、住民税及び事業税=当期純利益
となります。
預金のデータは2つとも集計したのに、この状態では、まだB/Sの左右は一致していません。
実は、B/Sには、P/Lの当期純利益が入ります。
それが利益剰余金です。
利益剰余金は、原則としてこれまでの当期純利益を集計したものなので、1期目なら、利益剰余金=当期純利益ですが、2期目は、1期目+2期目の当期純利益の合計、3期目は、1期目+2期目+3期目の当期純利益の合計、4期目なら・・・となります。
今回は、1期目と仮定していますので、当期純利益がそのままB/Sの利益剰余金に入るのです。
これで左右が一致します。
③売上、経費の入力
さらに、売上高、現金引き出し、経費を入力するとこうなります。
利益は70,000円です。
・B/Sの左右が一致
・紫の部分で、預金の残高は、B/Sと一致
・売上高の合計、経費がP/Lに集計されていること
に注目してみてください。
預金を入力すると、このようにB/S又はP/Lに集計されています。
決算書の預金残高が通帳の残高と違っていれば、間違っているわけです。
これを、俗に「合わせる」といいます。
その取引、行動、決定が、どうやって数字に反映されているかどうか肌感覚でつかむのが大事です。
サンプルを作っていますので、預金データを入れて、試してみてください。
※B/S、P/Lにある科目なら集計されます。
EX-ITサンプル 預金→決算書
預金の入力方法と効率化
データの入力方法には大きくわけると、2つあります。
前述の預金データは右側のように入力することもできるのです。
これがいわゆる仕訳と呼ばれます。
仕訳で入力すると、どっちが右でどっちが左か迷うこともあり、入力後に残高を確認できません。
そのため、預金は、事例のような形式(元帳、預金出納帳といいます)で入力するのがおすすめです。
・残高を合わせる必要があるもの(残高を合わせられるもの)→預金、現金は出納帳形式で入力
・そうでないもの→売上、仕入、経費などは、仕訳形式、データで入力
という使い分けをオススメします。
ひとり社長の場合、現金という処理をすると、その現金を合わせるのが大変です。
会社の現金と自分の個人的な現金の区別は難しいでしょう。
そのため、すべて、自分が立て替えた(会社から見ると社長から借りたという形)ものとして、「役員借入金」「社長借入金」と処理した方が楽です。
私もそうしています。
(フリーランスの場合の「事業主借」も同様です)。
預金は、記録されており、残高を確認できるので、まっさきに入力すべきです。
効率化の観点からは、
・できるだけ預金を通す(記録されるため)
・ネットバンクにして、データ連動又はExcel加工をする
そして、
・預金から決算書への流れを意識する
といったことを、心がけていきましょう。
おとといから、オートミールというものを試してみています。
オートミールは 健康診断結果を変える
まだオートミール食べてないの? 血糖値・コレステロール・肥満をコントロールする
食べにくいということで、どきどきしていましたが、意外とすんなりはまりました。
玄米とか麦とかが好きだからかもしれません。
食べ始めて、昨日は体重が減りました(たまたまでしょうが)
しばらく続けてみます。
けさも、豆乳とバナナ、キウイを入れて食べました。
【昨日の1日1新】
※詳細は→「1日1新」
重ね煮で鶏・赤ピーマン・ニラのスープ
晩ご飯にオートミール
山口県下松市のにんにくせんぺい
■著書
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