ひとり社長(人を雇っていない場合)は、マイナンバー導入に向けて何をやればいいのでしょうか。
現時点での情報をまとめてみました。
自分自身のマイナンバー(個人番号)のスケジュール
マイナンバーには2種類あります。
1つは、自分自身のマイナンバー。
個人番号といわれるもので、日本に住民票がある全員にその番号がつけられます。
1 10月下旬に[通知カード]が届く
今年(2015年)の10月5日時点の住民票登録地に、[通知カード]というものが届きます。
(簡易書留)
この[通知カード]に載っているのは
・氏名
・住所
・生年月日
・性別
・マイナンバー
です。
この時点では何もする必要はありません。
自分のマイナンバーなら、写真に撮って用紙を捨ててしまってもいいでしょう。
(私はそうします)
マイナンバー自体がもれても、被害は考えられません。
クレジットカード番号のように買い物にも使えませんし、情報を引き出すこともできない仕組みだからです。
とはいえ、もれないことにこしたことはないので、紙で保管してなくすよりは、写真で厳重に管理しておきましょう。
私は、クレジットカード番号と同様に、暗記します。
12桁なのでなんとか暗記できるはずです。
暗記しておくと、楽ですし、漏洩のリスクは減ります。
2 2016年1月以降に[個人番号カード](マイナンバーカード)を受け取っておく
[個人番号カード]を受け取っておきましょう
[通知カード]が送られてきたときに同封されている用紙を送る、又はスマホ等で登録することで[個人番号カード]の申請ができます。
申請後、2016年1月以降に受け取れる予定です。
(役所に取りに行く必要があります)
この[個人番号カード]は、身分証明にも使えますし、e-Tax(ネットで税務申告書を提出)の電子証明にも使えます(現状、住基カードを利用)。
ただ、申請・受け取りは任意です。
3 2016年1月以降に提出する税・社会保険関係の書類に使う
個人番号は、役所に提出する際に使うものです。
役所のために導入されるものであり、われわれにはメリットは当面ありません。
(消費税還付に使うという愚かな案が出ていますが・・)
マイナンバー(個人番号)が必要なのは、2016年(平成28年)1月以降に提出する書類からです。
その書類は、税・社会保険(健康保険、年金、雇用保険)に限られます。
ひとり社長の場合、雇用保険は関係ありません。
(雇用保険に関する個人番号利用は、2016年1月からですが)
税に関しても、2016年中にマイナンバー(個人番号)を使うような手続きはないです。
4 2016年の源泉徴収票に個人番号を使う
2016年(平成28年)の源泉徴収票には、マイナンバー(個人番号)が必要です。
自分だけではなく、扶養親族のマイナンバー(個人番号)も必要となります。
はやめに確認しておきましょう。
このときに確認しようとすると、通知カードをなくしてしまっている可能性があります。
5の法定調書、7の確定申告で必要となる可能性があります。
※以降、毎年必要です。
ただし、マイナンバーが入っている源泉徴収票は、税・社会保険以外には使えません。
金融機関や不動産会社など、役所以外に出すときは、マイナンバー(個人番号)なしの源泉徴収票を出しましょう。
5 2017年1月(2016年分)の法定調書提出時に個人番号を使う
法定調書という書類を税務署に提出しなければいけない制度があります。
源泉徴収票も法定調書の1つで、会社が、個人(一部法人)にお金を支払った場合に、その支払先や支払額、源泉徴収税額を入れる書類です。
主に次のようなものがあります。
・源泉徴収票(給料や退職金)
・報酬の支払調書(一般的に[支払調書]といわれるもの。個人への外注・報酬、税理士等への顧問料など)
・不動産の支払調書(個人へ支払うもの)
それぞれ一定の金額をこえると提出し、その書類をまとめた[合計表]という書類と一緒に提出するものです。
・源泉徴収票→原則として、役員なら年間150万円超の給料
・報酬の支払調書→税理士等への報酬、講演料・原稿料なら年間5万円超
・不動産の支払調書→個人なら年間15万円超の家賃、法人なら権利金・更新料を払った場合
2017年(平成28年)1月に提出する上記の書類、つまり2016年分から、それぞれのマイナンバー(個人番号)を記載し、本人確認もしなければいけません。
本人確認とは、個人番号確認と身元確認で、通知カード+身分証明書等又は、個人番号カードで確認します。
(実質的に確認するのは大変そうですが・・)
※以降、毎年必要です。
「こんな書類出してない・・・」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
まあ、コッソリ書くと、出さなくても何も言われない可能性もあります。
税務申告書を出していないと罰金がかかる可能性もありますが、法定調書を出していないからといって罰則を受けることは考えられません。
ただし、出しておいた方がいいものではあります。
マイナンバーを機に取り締まりが厳しくなるかもしれません。
法定調書とは、要は裏付けの資料です(支払った側が支払の証明を出せば、受け取った側が税務申告していない場合にもわかる)。
マイナンバー導入の主旨の1つは、申告もれを減らすことですので、法定調書が今後厳しくなる可能性は十分あるでしょう。
6 2017年1月(2016年分)の住民税の申告(給与支払報告書)時に個人番号を使う
毎年1月、役所に、住民税の申告をしているかと思います。
源泉徴収票と同じような様式で、給与支払報告書という書類です。
2016年分の給与支払報告書の提出期限は2017年1月末。
このときにマイナンバー(個人番号)を入れます。
7 2017年3月(2016年分)の確定申告に個人番号を使う
もし、自分自身の所得税の確定申告をするなら(医療費、住宅ローン、その他の収入がある場合等)、その際にマイナンバー(個人番号)を使います。
2017年の3月15日が期限の、2016年分の確定申告からです。
この際に確定申告書の証明となる源泉徴収票(e-Taxの場合は提出を省略可。紙の場合は添付が必要)にもマイナンバー(個人番号)が必要となります。
マイナンバーがないからといって申告が無効になることはありませんが、問い合わせが来るとめんどくさいのできちんと入れておきましょう。
8 2017年1月以降の健康保険、年金関係の手続きで個人番号を使う
2017年1月以降健康保険・年金関係の手続きで、マイナンバー(個人番号)が必要です。
・家族を扶養に入れる場合
・扶養から外す場合
などで、使います。
会社のマイナンバー(法人番号)のスケジュール
もう1つのマイナンバーは、会社にふられる法人番号です。
こちらは、個人番号と違い、自由に使え、インターネットでも公表されます。
(メリット、デメリットありますが・・)
1 10月22日から法人番号が通知される
10月5日時点に登記されている場所に、法人番号が通知されます。
(ネットで公表するのだから通知はいらないと思うのですが。お金もかかるし)
東京都の千代田区、中央区、港区は、10月22日に通知書が発送され、10月26日に公表、
上記以外の東京23区は、10月26日に発送、10月28日に公表
といったスケジュールです。
最終は、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県で、11月25日に発送、11月27日に公表されます。
(登記がある会社のみ)
※気になる方は、こちらにスケジュールがあります。
https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/houjinbangou/schedule.htm
公表される情報は、
・商号(会社名)
・本店の所在地
・法人番号
です。
公表後に変更があった場合は、その履歴も公表されます。
公表されると、DM業者に悪用される可能性大です。
DMが来たら、「受取拒絶」と書いてポストに投函しましょう。
こうすると配送先に戻ります。
(メール便だとメール便会社に戻ります)
【関連記事】少しでも減らすため、迷惑営業メール・迷惑問い合わせには毅然と対応しよう |EX-IT
リンク
2 2016年(平成28年)以降の税・雇用保険の手続に法人番号を使う
2016年(平成28年)以降の税・雇用保険の手続きには、法人番号が必要です。
ひとり社長の場合は、税のみ関係があり、税務上の届出書・申請書(移転した場合や税務上の特例を受けるときなど)に記載することが考えられます。
法人税などの税務申告書は、2016年(平成28年)1月1日以降開始事業年度から法人番号が必要です。
3月決算だと、2016年4月1日から2017年3月31日、6月決算だと、2016年7月1日から2017年6月30日の事業年度からになります。
3 2017年(平成29年)以降の社会保険の手続に法人番号を使う
その翌年から、社会保険関係でも法人番号が必要となります。
税と社会保険の情報が紐付けされることになるので、社会保険に加入していない場合の取り締まりがよりいっそう厳しくなる可能性もあるでしょう。
人を雇わないとマイナンバー管理はまだ楽
ひとり社長のマイナンバー(個人番号、法人番号)のスケジュールをまとめると、こうなります。
※所得税確定申告は必要ある方のみ
※網掛けはそれ以降ずっと適用されるという意味です
ひとり社長だからこれだけで済みますが、人を雇うとマイナンバーは、もっと大変になります。
・社員のマイナンバー(個人番号)を集めて、本人確認しなければいけない。
・集めたマイナンバーは厳重管理しなければいけない。もれた場合は厳しい罰則。
・社員本人だけではなく、扶養親族のマイナンバーも必要
・厚生年金の扶養に入る場合は、委任状や被扶養者のマイナンバーも必要
・社員が退職したら、マイナンバーを完全に廃棄、削除しなければいけない
外注先を増やしていても、支払調書の関係からマイナンバーの収集、管理、本人確認という手間が増えます。
外注ではなくITをうまく活用することがますます求められるでしょう。
支払調書は、個人にのみ必要です。
相手先が法人ならマイナンバー管理の手間がなくていいというメリットも出てきます。
(これは法人化のメリットとなり得ます)
100名超の企業はもっと厳密な法律でしばられるので、さらに大変です。
マイナンバーの観点から人を雇わない、身軽な経営という選択肢は今後増えていくかもしれません。
今回の記事は、法人で人を雇っていないひとり社長のケースです。
フリーランス(個人事業主)の方はこちらを参考にしていただければ。
【関連記事】マイナンバー導入に向けてフリーランスが知っておくべきメリット・デメリット・スケジュール |EX-IT
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