税理士受験生は、毎年減少しています。
この減少、そして税理士数の減少を止めるには、税理士業界の仕事環境の改善が欠かせません。
※代官山マーメイドカフェにて。 iPhone 6s
税理士受験者数は年々減っている
税理士試験は年に1回行われます。
その受験者数は年々減り、平成27年は38,175人。平成26年は、41,031人でしたので、3,000人の減少です。
この傾向はここ数年ずっと続いています。
税理士試験は科目ごとに受験でき、5科目そろうと資格がとれるしくみです。
通常、1年に受験できるのは、1から3科目ですので、必然的に複数年かかります。
「税理士試験は複数年かけてとれるので、楽」
「がんばれば確実にとれる」
「あきらめなければとれる」
といわれていますが、決してそうではありません。
「複数年かかる」のがむしろ問題なのです。
仕事、家庭など様々なものを背負って受験しなければいけない中、複数年の受験はメリットではなくデメリットでしかありません。
この受験者数が減ることにより、悪影響もあります。
受験者数減少がもたらす悪影響
受験者数が減れば、合格者数も減ります。
ここ数年はこのような推移です。
もともと税理士の年齢階層別の割合はこのようになっています。
・試験合格者の他に、国税庁を退官した税理士、いわゆる国税OB(国税庁等に一定以上勤務すると試験を受けなくても税理士になれます)がいること
・税理士には定年がないこと
から、平均年齢は60歳を越えています。
受験者数が減り、新たな税理士がうまれなくなると、平均年齢はますます高くなるのです。
年齢が高いからダメというわけではありませんが(私も43ですし)、新たな血が入ってこなくなると、もともと保守的な税理士業界が、ますます保守的になってしまいます。
時代の流れがはやくなり、若い経営者も多い今、その状況に対応できない可能性も高いです。
税理士受験者数を増やして、業界を活性化する動きは欠かせません。
資格を取っても、独立を躊躇するケースも多いです。
もちろん、独立だけが税理士の道ではありませんが、「独立したい」のに独立できない環境は、好ましくありません。
受験者数を増やし、独立を増やすためには、仕事環境の改善が必須です。
受験者が減っているのは、新規の受験者が減っている(税理士が魅力的な職業ではない)とともに、受験をやめている人も多いのではないかと考えています。
税理士事務所の仕事環境の改善が必須
税理士業界の仕事環境は決していいものではありません。
・労働集約型(作業量に応じて収入が決まる)になりがち
・安易な価格競争(低価格で契約する)
・昔ながらの徒弟制度の名残(仕事させてやってるんだから安月給でいいよね!というスタンス)
といったものがまだまだあり、残業代もなく、休みもない、いわゆる使い放題プランなところが多いです。
価格競争の末に単価を下げ、売上が減る
↓
給料を上げられない、または人をとれない
↓
その上、長時間労働
↓
その長時間労働は作業であるため、本人のスキルアップにつながらない
↓
モチベーションダウン
といった悪循環に陥っています。
こういった仕事環境を改善しなければ受験者数が増えません。
もちろん、本人の努力も必要ですが、勉強する時間がなく、仕事に疲れ切って(精神的にも肉体的にも)、勉強する気力もなく、その結果税理士試験をあきらめている人も多いのです。
5科目合格すれば資格が取れる制度ですが、5科目未満、たとえば1科目や2科目だけとってそこで受験をやめている人もいる状況です。
また、勤務先が、税理士資格を取ることを望んでケースもあります。
資格を取ってしまうと、独立してしまい、顧客を持って行ってしまう可能性があるからです。
資格をとるほどの人材は、仕事上も重要な位置を占めており、辞められると困るという事情もあります。
現に、嫌がらせや辞めさせない圧力を聞くことも多いです。
こういった仕事環境の改善をしなければ、税理士受験者、新たな税理士は増えません。
たとえば次のような改善策があります。
・時間を制限する
だらだら仕事をやる、確定申告時期だからといって残業を前提にするといつまでたっても仕事環境は改善しません。
時間を制限して、定時に終わるように考えてみましょう。
どうしてもダメだったら延長する(残業する)と考えなければ、改善はすすみません。
・ITを徹底的に使う
電話・FAX中心、プリントアウトが前提、古く遅いPC、紙で申告する、データを手入力するなど、従来の方法を使っていては仕事は改善できません。
IT化により世の中は加速しています。
今までのやり方が楽だからといってそのままにしていては、仕事をこなせません。
世の中のスピードに合わせるため、お客様の多様化するニーズにこたえるためにも、ITを徹底的に使いましょう。
紙で申告していたら、マイナンバー関係の業務も複雑化します。
IT化についてはこちらにもまとめてあります。
めんどくさい税理士業務を楽に・楽しくしてくれるIT 20160108版|井ノ上陽一|note
・経営を考える
税理士事務所も経営の要素は当然必須です。
売上を増やし、経費を減らし、利益を上げる
このうち、経費(人件費)を減らすことしか考えてないと、この先は継続できません。
・単価を意識する
・仕事当たりの利益を考える
・新しい仕事をとれるようにする
などをやる必要があります。
利益を上げないと人は増やせませんし、給料も上げられず、いい人材も確保できません。
ただでさえ、IT化により、税理士の必要性は減っているのです。
安易に単価を下げ、税理士紹介会社を利用していては、経営は成り立たないでしょう。
経費についても従来通りシステム会社や、税務会計ソフト会社に多額の支出をしていてはいくらお金があっても足りません。
もちろん、独立した税理士が、いい姿をみせることも必要です。
(私もそういった姿を見せられるようにがんばらなければいけませんが・・)
私自身は、事業を拡大して税理士受験生を雇う才がありませんので、別の形でサポートしています。
・受験生がモチベーションを高められるようにする
・独立にむけてのサポートをする
といったものです。
私と同じように、人を雇うタイプでないなら、無理に人を雇って拡大せずに、「ひとり税理士」の道を選べばいいと思っています。
そのサポートしてメルマガや
メルマガ「税理士進化論」 | EX-IT
書籍を書いています。
現に、「合格しました!」「独立しました!」という声を多数いただいております。
上記の環境の悪さも、生の声を聞いた結果、感じていることです。
税理士受験生の方は、自分が努力しても仕事環境が改善しなければ、転職も考えましょう。
仕事もやりながらの受験は、かなり厳しく、並大抵のことではありません。
環境を改善しなければ結果を出せないでしょう。
少なくとも私はそうでした。
私の場合も決していい環境ではありませんでしたが、仕事を改善し時間だけは死守していたおかげでなんとか資格が取れたわけです。
税理士受験者数、新たな税理士を増やしていく動きは今後も続けていきます。
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毎週土日にやっているようで、またいってみたいところです。
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