法人の税金のしくみがかわりました。
(平成26年10月1日以降にスタートした事業年度より)
ひとり社長向けのそのしくみを解説します。
※Keynoteで作成、スクリーンショット
地方法人税というのができた
法人が払う税金
法人が払う税金は、
・法人税
・住民税
・事業税
・地方法人特別税
があります。
住民税は、
・一般的には、道府県民税+市町村民税
・東京23区の場合は、都民税のみ
・東京23区以外の場合は、都民税+市町村民税
となります。
地方法人税とは
これが、今は
・法人税
・地方法人税
・住民税
・事業税
・地方法人特別税
となりました。
新しく地方法人税という税金ができたのです。
「地方法人税?地方税なのか法人税なのかはっきりせい!」という感じなのですが、これは、国に払う地方税です。
国に地方税をいったん払って、国で分配します。
平成26年10月1日以降にスタートした事業年度からですので、平成27年9月末決算の会社から変更となりました。
なお、所得(≒利益)がマイナスの場合、住民税の均等割といわれる税金(東京都だと通常7万円)のみ支払うので、
・法人税
・地方法人税
・住民税(均等割以外)
・事業税
・地方法人特別税
は、発生しません。
地方法人税の変更も気づかない、または影響しないこととなります。
法人税の申告書の様式は大きく変わった
法人税の申告書はこのように変更となりました。
さらに、次葉(じよう)といわれる次のページがくわわり、ここで税金の計算をして、1枚目に転記するようになっています。
ソフトでやる場合は関係ありませんが、PDFに手書きする場合は、別表(一)次葉というのも使いましょう。
各事業年度の所得に係る申告書-普通法人(特定の医療法人を除く。)、一般社団法人等及び人格のない社団等の分(次葉)
国に払う税金、地方に払う税金
地方法人特別税も同じような名前、目的なので混乱しますが、気にしなくても大丈夫です。
ざっくりいうと、
・国に払う→法人税、地方法人税
・地方に払う→住民税、事業税、地方法人特別税
となります。
東京23区に会社がある場合でみると、払い先によって作る申告書は次のとおりです。
■国に払う法人税申告書(法人税と地方法人税を計算する)
■東京都に払う地方税申告書(都民税、事業税、地方法人特別税を計算する)
なんともわかりにくく、税理士である私も同感です。
つぎはぎつぎはぎで作っていることもわかりにくくなる原因でしょう。
いっそ、ゼロベースでわかりやすい申告書にしてほしいものです。
(そうするとこれまでと様式が変わって、猛反対するオールドタイプがいるんでしょうが)
法人税と地方法人税の納付書は別
法人税と地方法人税は、同じ申告書ですが、納税は別々に行います。
法人税の申告書で計算した税金は、
■法人税の納付書
■地方法人税の納付書
と2つの納付書で支払います。
地方税の申告書で計算した税金は、
■地方税の納付書
ですべて払うことができます(東京23区の場合。通常は都道府県と市町村の2枚)
ネットで支払う場合は、3回(国税で2回、地方税で1回)、手続きしなければいけません。
国税(法人税、地方法人税)はこちらで、
【関連記事】ネットで法人税、消費税、所得税を納付する方法 | EX-IT
リンク
地方税(住民税、事業税、地方法人特別税)はこちらの記事を参考にしていただければ。
【関連記事】地方税をネットで納付する方法 | EX-IT
リンク
地方法人税は、増税ではない
地方法人税?増税???と思われるかもしれませんが、増税ではありません。
税金の区分、支払先が変わっただけです。
これまでは、次のように計算していました。
所得から法人税を計算し、法人税から住民税を計算、事業税は所得から計算するというしくみです。
変更後はこうなります。
地方法人税は法人税に4.4%をかけて計算しますが、その他の税率を下げ、トータルでだいたいおなじくらいになるようにしているのです。
※地方税の税率は条件により変わることがあります。ひとり社長だとおおむね図のとおりになることはほとんどです。
法人税・地方税申告書作成の実例
実際に計算してみました。
『ひとり社長の経理の基本』の事例で計算してみます。
改正前は、次のとおりです。
・所得 2,514,916円
・法人税
所得(2,514,000円。千円未満切捨)×税率(15%)=377,100円
(本にある復興特別法人税は、もうありません)
・住民税
法人税377,100円→377,000円(千円未満切捨)×17.3%=65,200円(百円未満切捨)
65,200円+均等割70,000円=135,200円
・事業税
所得(2,514,000円)×4%=67,800円(百円未満切捨)
・地方法人特別税
事業税(67,800円)×81%=54,900円
法人税 377,100円
住民税 135,200円
事業税 67,800円
地方法人特別税 54,900円
で、合計 635,000円です。
改正後は、
・法人税
所得(2,514,000円。千円未満切捨)×税率(15%)=377,100円
これは同じです。
ただし、様式の変更により別表一(一)の次葉で計算して、別表一(一)に転記するようになります。
(下記の図参照)
・法人地方税
法人地方税も別表一(一)の次葉で計算して、別表一(一)に転記します。
※図は、見やすくするために数字を桁区切りにしています。
法人税377,100円×4.4%=16,500円
・住民税
法人税377,100円→377,000円(千円未満切捨)×12.9%=48,600円(百円未満切捨)
48,600円+均等割70,000円=118,600円
・事業税
所得(2,514,000円)×3.4%=85,400円(百円未満切捨)
・地方法人特別税
事業税(85,400円)×43.2%=36,800円
法人税 377,100円
地方法人税 16,500円
住民税 118,600円
事業税 85,400円
地方法人特別税 36,800円
で、合計 634,500円です。
改正前とほぼ同じになっています。
まとめてみました。
法人税は同じ、都民税は減り、事業税は増え、地方特別法人税は増え、法人地方税が増えています。
これにより国に払う税金と地方に払う税金のバランスが変更されました。
ご自身で申告をされる方は注意していただければ。
平成26年10月1日以降にスタートした事業年度からです。
※平成29年4月1日以降にスタートした事業年度からは、次のように税率が変わりますが、総額は変わりません。
地方法人税 4.4%→10.3%
住民税(東京都の場合)12.9%→7%
地方法人特別税 43.2%→0%(事業税に組み込まれる)
事業税(地方法人税の分アップ)
昨日のレスパスは、リラックスヨガ。
リラックス=力を抜くのが苦手なので大苦戦でした・・。
同じポーズができません。。
でもちょっとずつわかってきた気がします。
夜ご飯は、新兵器シャトルシェフでつくった肉じゃがでした。
【昨日の1日1新】
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