もらった消費税は,払わなくて(納税しなくて)いいのですか?
という質問をよく受けます。
例えば,
年間1,050万円の売上がある場合,その売上に対する消費税は,50万円。
この50万円は,顧客から預かったものですので,
払う必要があるのではないか?
という考え方です。
この問題は,次の2つの論点から考える必要があります。
1 消費税を払わなくてもいい場合がある。
消費税は,すべての事業者が払う必要はありません。
払うか払わないかは,前々年(前々期)の売上によって決まります。
前々年(前々期)の売上(消費税がかかるものに限る)が1,000万円を超える場合,
消費税を払うことになります。
第1期,第2期→前々年がないため,消費税は支払わなくてよい。
※ただし,第1期,第2期開始時に資本金が1,000万円以上の法人は消費税を支払わなければいけません。
→つまり,資本金1,000万円で会社を設立すると,第1期,第2期は消費税を支払う義務が発生します。
第3期→第1期の売上が900万円なので,消費税は支払わなくてよい。
第4期→第2期の売上が1,200万円なので,消費税は支払なければならない。
第5期→第3期の売上が1,500万円なので,消費税を支払なければならない。
ここで,注目していただきたいのは,第4期です。
第4期の売上は900万円ですが,あくまで前々期の第2期で消費税を支払うかどうかを判定しますので,
第4期は消費税を支払う必要があります。
第4期の2年後の第6期は,消費税を支払う必要がありません。
2 売上に対する消費税を預かる一方で,仕入や経費を支払う場合には,消費税を支払っている。
前述の例で売上は1,050万円です。
この場合に,仕入や経費(消費税がかかるものに限る)を630万円支払っているとすると,
30万円の消費税(630万円×5/105)を支払っていることになります。
消費税は,売上に対する消費税から,仕入・経費に対する消費税を差し引き,
その差額を納税する制度です。
したがって,納税する消費税は,次のように計算します。
売上に対する消費税(50万円)-仕入・経費に対する消費税(30万円)=20万円
この20万円を納税するわけです。
なお,この仕入・経費に対する消費税の計算は,簡易的な計算方法を選択することもできます。
上記の2つを考慮すると,来年(来期)に消費税を支払うかどうかは事前に分かっているわけです。
また,事業計画をしっかり作成していれば,どのくらい納税しなければいけないかを計算することができます。
クライアントには,当然,事前に消費税を支払うかどうか,及び概算の納税額等の情報を提供しています。
納税のための資金を確保することができますし,
何よりも安心していただけるからです。
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