資本金が多い会社は優良企業か?
というと,必ずしもそうとはいいきれません。
資本金の金額だけではその会社の財政状態は
判断できないからです。
同じ1,000万円という資本金でどのような財政状態のパターンがあるかを
みてみましょう。
1 会社設立時
資本金1,000万円の会社を設立した場合,
会社の財政状態は左の図のようになります。
預金が1,000万円資本金が1,000万円です。
2 第1期に200万円の利益が出た場合
1の会社の第1期目が終了し,200万円の利益が出た場合,会社の財政状態は左の図のようになります。
200万円の預金が増え,預金は1,200万円となっています。(他の要素は考慮していません)
3 第1期に200万円の損失が出た場合
1の会社の第1期目が終了し,2とは異なり,200万円の損失が出た場合,
会社の財政状態は左の図のようになります。
200万円の預金が減り,預金は800万円となっています。
(他の要素は考慮していません)
4 数年経過した場合
上記の会社が数年経過した場合,左の図のようになっている可能性があります。
預金は300万円に減り,
売掛金(代金の未回収)が200万円
商品200万円
設備500万円
を所有しています。
一方で資本金だけでは足りずに800万円借入を行っています。
さらに累積の利益を表す利益剰余金はマイナス400万円です。
(会社が数年間継続した結果,累計でマイナスだということです。)
このように,同じ資本金でも,様々な財政状態があります。
資本金は会社の財政状態を示す1つの目安でしかありません。
といいつつも,中小企業では資本金のみを明らかにしている会社は多いので,
資本金の大きさで会社の優劣を判断されてしまうことも多いです。
現在は資本金が1円でも会社を設立できるようになりました。
元手があまりかからないビジネスも増えてきましたので,
会社に応じた資本金で設立することができます。
設立時は,少ない資本金でスタートし,
その後,会社の規模が拡大するに伴って,資本金を増やす(=増資といいます。)
会社も増えています。
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