法人の場合,原則として,法人の利益に応じて税金が発生するのですが,
赤字でも支払わなければならない税金があります。
一般的に,その税金は7万円と言われていますが,
この7万円は,どういう税金なのでしょうか?
この7万円の税金は,法人住民税の均等割と言われるもので,
資本金等の金額と従業者の数,事務所等の数等により決まるものです。
均等割の計算
均等割とは,利益に関係なく,課される税金であり,
1年に一度,決算月から2ヶ月以内に支払います。
東京23区に1箇所だけ事務所等がある場合,均等割は,次の表により計算されます。
資本金等の額 | 従業者数 | 均等割 |
50億円超 | 50人超 | 380万円 |
50人以下 | 121万円 | |
50億円以下~10億円超 | 50人超 | 229万円 |
50人以下 | 95万円 | |
10億円以下~1億円超 | 50人超 | 53万円 |
50人以下 | 29万円 | |
1億円以下~1,000円超 | 50人超 | 20万円 |
50人以下 | 18万円 | |
1,000万円以下 | 50人超 | 14万円 |
50人以下 | 7万円 |
※ここでは,資本金等の額=資本金と考えていただいて,結構です。
資本金等の額が1,000万円以下で,従業者が50人以下の場合は,
均等割の金額が7万円となります。
この7万円が「赤字でも支払わなければいけない税金」です。
月割
均等割は月割で計算し,1ヶ月未満は切り捨てます。
起業したのが今日10月17日で,9月決算だとすると,
2009年10月17日から2010年9月30日は,11ヶ月と15日→11ヶ月
で計算します。
均等割は7万円×11/12で64,100円(100円未満切り捨て)です。
増資の際に注意すべきこと
例えば,資本金10万円で会社を設立し,数年後に増資(資本金を増やす)をするとします。
この場合に,1,000万円増資して,資本金を10万円→1,010万円にすると,
均等割は,上記の表より,18万円になってしまいます。
東京都以外の場合
資本金等の額が1,000万円以下で,従業者が50人以下のケースです。
東京都(23区)の場合は,東京都に7万円を支払います。
それ以外の場合は,原則として同じ7万円ですが,県に2万円,市町村に5万円支払います。
千葉県船橋市であれば,支払先は,千葉県と船橋市です。
この均等割の金額は全国一定ではなく,例えば,大阪府は若干高くなっています。
法人税ではない
この「赤字でも払わなければいけない税金」は,法人税と思われていることが多いのですが,
実は,住民税であり,所在地の都道府県,市区町村に支払っているものなのです。
年間7万円という金額は,法人を維持するための必要最低限のコストといえます。
税金のしくみ勉強会(10/25) 詳細・お申込はこちらまで【キャンセル待ち受付
】
■著書
『税理士のためのプログラミング -ChatGPTで知識ゼロから始める本-』
『すべてをがんばりすぎなくてもいい!顧問先の満足度を高める税理士業務の見極め方』
ひとり税理士のギモンに答える128問128答
【インボイス対応版】ひとり社長の経理の基本
「繁忙期」でもやりたいことを諦めない! 税理士のための業務効率化マニュアル
ひとり税理士の自宅仕事術
リモート経理完全マニュアル――小さな会社にお金を残す87のノウハウ
ひとり税理士のセーフティネットとリスクマネジメント
税理士のためのRPA入門~一歩踏み出せば変えられる!業務効率化の方法~
やってはいけないExcel――「やってはいけない」がわかると「Excelの正解」がわかる
AI時代のひとり税理士
新版 そのまま使える 経理&会計のためのExcel入門
フリーランスとひとり社長のための 経理をエクセルでトコトン楽にする本
新版 ひとり社長の経理の基本
『ひとり税理士の仕事術』
『フリーランスのための一生仕事に困らない本』
【監修】十人十色の「ひとり税理士」という生き方