脳科学者の茂木健一郎さんが確定申告をしていなかったというニュースがありました。
茂木健一郎氏:多忙で申告せず…3年で3億円 国税局指摘写真付き記事(毎日.jp)
茂木健一郎氏、所得4億無申告…印税や出演料など(YOMIURI ONLINE)
概要
概要をまとめると次のようになります。
・3年間で3億円(読売では4億円)の所得(印税や講演料など)の確定申告がされていなかった
・すでに修正して申告。無申告加算税のみ。
・税理士には依頼せずに,自分で申告しようとしていた
・「多忙のため,確定申告ができなかった」
・2,3年前から税務署から指摘があったが,それでも申告していなかった。
「修正して申告」とは
よくニュースに出てくる言葉に「修正して申告した」というものがあります。
税務行政では,何か確定申告に不備があった場合,納税者に指摘をします。
その後の流れとしては,次の2つがあります。
1 修正申告
納税者がその指摘に応じて,自らが確定申告の修正(やり直し)をすることです。
2 更正
課税当局の方から修正をすることです。
2の更正があった場合,納税者は異議を申し立てることができます。
つまり,訴えることができるわけです。
そのため,訴えられる可能性がない修正申告が実務上では,行われることが多いです。
もちろん,納税者が納得した上でという条件ですが。
無申告加算税
今回課された無申告加算税とは,
期限後に申告した場合又は全く申告しなかった場合にかかります。
納めるべき金額の15%~20%です。
今回はこの無申告加算税が追加で課されています。
重加算税
毎日.jpの記事によると,
「重加算税はなかった」
という1文があります。
重加算税とは,隠蔽や仮装,いわゆる悪質な場合にかかります。
追加納付税額の35%~40%です。
もし重加算税の対象であれば,今回の場合は,無申告なので,40%となります。
今回の件が,なぜ重加算税の対象でないのかは疑問です。
多忙のため・・・・
この件についてインタビューが掲載されているのですが,
その受け答えが好ましくありません。
「多忙のため・・・」
「節税には興味がない」
「国が計算してくれれば・・・」
杓子定規に「納税は義務です」というつもりはありません。
しかし,「多忙」を理由として挙げてはいけないのではないでしょうか?
「多忙」のレベルは違うとはいえ,どんなに忙しくても納税している納税者はたくさんいます。
たまった領収書をひたすら入力して,大変な思いをしながら・・・。
(本来は,ためずに行うのが理想ですが)
その大変な思いや心理的な負担を軽減するのが税理士だと考えています。
今回,茂木さんは税理士に依頼してなかったそうです。
「3年申告してないんだけど,どうしよう・・・」と気軽に相談できる税理士がいれば,よかったのでしょうね。
(インタビューによると,今後は依頼するそうです。)
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今日は別の記事を書く予定だったのですが,このニュースがあったので,差し替えました。
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