税理士事務所での仕事の覚え方

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税理士事務所では、仕事を教えてもらえません。自分で覚えていく必要があります。
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税理士事務所で教えない理由

税理士受験しながら,税理士事務所に勤務をすると,勉強はしなきゃいけないし,仕事のやり方や必要な知識を覚えなきゃいけないしで結構大変な思いをすることが多いです。
この業界の人材定着率が悪いのもそのせいかもしれません。

「新人の頃は,教えてもらえる」
「最初から高度な知識を要求されない」
と思うかもしれませんが,税理士事務所で教育制度が整っているところは少なく,最初から高度な知識を要求される機会も多いです。(お客様から見れば新人であろうと関係ありません)

特に事務所内部の仕事,会計ソフトの入力や申告書の作成は,「これ,やってみて」「去年の資料を見れば分かるから」と普通に任されることが多々あります。

さらには、「教えるスキル」はすべての人にあるわけではありません。
「自分ができる」と「教える」は別の話です。
税理士事務所に限らず、「教える」スキルを持っている人はほとんどいません。
これを認識しましょう。

私自身がいた事務所もそうでした。
自分の仕事も持っているし,新人へのレクチャーが行き届かないという致し方ない理由もあるのかもしれません。
それでもやはり勤務する側としては,税理士受験の勉強と実務経験を両立させなければいけません。
私がこの業界に入ったときも、そのジレンマに苦しみました。
そのジレンマを解消するには仕事を自分で覚えるしかありません。
次のようなことをやっていました。

仕事を覚えるには

1 仕事のパターンを整理する

仕事にはある一定のパターンがあります。私の場合,それらを自分でまとめていました。
税理士事務所では毎月,毎年という周期で仕事をしますので,クライアントごとや時期ごとに作成し,自分の仕事を整理します。
自分のマニュアルを自分で作っていた感覚です。
これは税理士事務所以外の職場でも,今でもやっています。
ベースはWordなどで作成し, そのマニュアルに気づいたことをどんどん書き込んでいき,時々,Wordで打ち直します。
経験を重ねたあとや独立したときは,当然これらの定型的な業務だけをやるわけにはいきませんが,税理士事務所に入ったばかりの頃は,定型的な業務をまず身につけるべきです。
会計ソフトの入力という単純作業だけでも,仕事を整理しつつ行うとかなり効率が変わってきます。

2 ソフトの力を借りる

税務ソフトは,金額を入力していけば,自動的に税金を計算してくれます。
最終的には,なぜそうなるのかを知る必要がありますが,当初,その余裕はないと思います。
そこで,仕事の合間に税務ソフトの数字を少し変えてみて,それがどの部分に影響するかを見てみるだけでも勉強になります。
例えば,法人税の申告書に住民税などの数字を入れないとどうなるか,当期純利益の金額を変えてみると,どう税金に影響するかなどを試してみます。
その影響の理由をその後で考えるのです。
私は仕事の合間にできる範囲で,そういうことを試してみていました。
試しに変えた金額を戻すのをお忘れなく。

ただし、ソフトの力を借りるのはあくまで「覚える」ためです。
頼り切ってはいけません。自分で理解する工夫をしましょう。

3 過去の申告書で勉強する

税理士事務所にもよりますが,従業員であれば,お客様の過去の申告書を見ることができます。
これらは最も優れた教材にもなり得ます。
上記2の方法と合わせて,なぜ,申告書のこの部分に,この数字が入るのかを手書きなり,Excelなりで分析します。

受験勉強で得たことは,かならず実務に結びつけてみましょう。
例えば,消費税法を勉強していれば,過去の会計ソフトの消費税区分をチェックしてみたり,申告書をチェックしてみたりすることができます。
実務での経験と勉強を効率よくリンクさせるには,早期に税法を勉強することが理想的です。

その苦労は独立後に必ず役に立つ

今の苦労は、その税理士事務所のためにやるものではありません。
来たる日の独立後に必ず役に立ちます。
「教えてもらえない」と悲観的にならず、ぐっと耐えて仕事を覚えるようにしましょう。

独立後は、未知の仕事が満載です。
だれも教えてくれません。
自分で道を切り開くスキルは、仕事を覚える過程で身につきます。

 

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