※当記事は、執筆当時の状況により書いています。
本記事の改正内容は平成24年1月1日現在、決定しておりません。
財産を相続した場合にその財産に対して発生する相続税。
相続税についても、改正が行われました。
今回は、「相続税が人ごとではなくなる~相続税の改正~」というテーマです。
対象となる方
財産を相続するすべての方
現在の制度
●税率
相続税は財産の金額(時価)に、税率をかけて計算します。
その税率は次の表のように定められています。
課税標準 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
3億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円超 | 50% | 4,700万円 |
では、5,000万円の財産を相続すると、実際の相続税はどうなるのでしょうか?
相続税の計算には様々な規定があります。
●基礎控除
基礎控除とは、法定相続人の数に応じて、引くことができる制度です。
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
で求めます。
例えば、5,000万円の財産で法定相続人が3人(妻、子2人)いる場合は、
基礎控除が8,000万円(5,000万円+1,000万円×3人)となります。
財産の5,000万円から基礎控除の8,000万円を引くと、マイナスとなりますので、結果、相続税はかかりません。
1億8,000万円の財産で同様に法定相続人が3にんいると、
1億8,000万円-8,000万円=1億円
↓
上記の表で、1億円は「1億円以下」に該当するため、30%をかけて、700万円を引く
↓
1億円×30%-700万円=2,300万円の相続税
↓
相続人3人で支払う(相続人の状況により控除あり)
●死亡保険金の非課税制度
死亡した場合におりる生命保険金等のうち、次の金額までは非課税となります。
500万円×法定相続人の数
前述のように法定相続人が3人だと、1,500万円までの生命保険金は非課税です。
●未成年者の税額控除
未成年者で一定の要件に該当する相続人は、相続税から一定の金額を引くことができます。
未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき、6万円で計算します。
例えば、15歳だと、20歳になるまでに5年ありますので、5年×6万円=30万円の税額が控除されます。
●障害者の税額控除
85歳未満(平成22年3月31日以前の場合は70歳未満)で、障害者である相続人は、相続税から一定の金額を引くことができます。
障害者が満85歳になるまでの年数1年につき、6万円で計算します。
(特別障害者の場合は12万円)
例えば、80歳の場合、85歳になるまでに5年ありますので、5年×6万円=30万円の税額が控除されます。
今回の改正
今回の改正では、次のような改正がありました。
●税率
税率は次のように変わります。
課税標準 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
赤い部分が変更となった部分です。
●基礎控除
基礎控除は次のように変更となります。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、5,000万円の財産で法定相続人が3人(妻、子2人)いる場合は、
基礎控除が4,800万円(3,000万円+600万円×3人)となります。
財産の5,000万円から基礎控除の4,800万円を引くと、200万円。
この200万円に相続税(20万円)がかかります。
●死亡保険金の非課税制度
死亡した場合におりる生命保険金等のうち、次の金額までは非課税となります。
500万円×法定相続人の数(未成年者、障害者、生計を一にしていた者に限定)
●未成年者の税額控除
未成年者で一定の要件に該当する相続人は、相続税から一定の金額を引くことができます。
未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき、10万円で計算します。
●障害者の税額控除
85歳未満で、障害者である相続人は、相続税から一定の金額を引くことができます。
障害者が満85歳になるまでの年数1年につき、10万円で計算します。
(特別障害者の場合は20万円)
いつから?
平成23年4月1日以降の相続税から上記の改正内容で行われます。
解説
税制改正大綱では、
「相続税 の基礎控除は、バブル期の地価急騰による相続財産の価格上昇に対応 した負担調整を行うために引き上げられてきました。しかしながら、 その後、地価は下落を続けているにもかかわらず、基礎控除の水準は 据え置かれてきました。」
となります。
確かに、最な見解だとは思います。
これまで相続税は100件のうち4件が納税するという状況でしたが、この割合が少し増え、高額な相続財産については、相続税が増えることとなりました。
相続税を多く支払う、つまり相続財産が多いのは、政治家や各種有力者である中、この案がよく出てきたなぁと思います。
すべての方が当てはまるわけではありませんが、多額の相続財産があると、その本人に対して、いい影響を及ぼしていないケースが多い気がします。
そういうことを考えると、相続税はもっと増やしてもいいのではないでしょうか?
一方、基礎控除が減少したことにより、今までは「相続税はかからないので大丈夫です」で済んでいたケースが、納税をしなければいけなくなります。
相続財産の確認を今一度しておく必要があります。
財産を残す側、財産を受け継ぐ側、双方に必要なことです。
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※平成23年の税制改正は、国会で正式決定してからの実施されますが、例年、ほぼ、この案どおり決定されております。
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