前回の記事で取り上げた領収書の整理と同様に会計ソフトへの入力はどの程度細かく行えばいいのでしょうか?
これについては,次のような考え方があります。
1 できるだけ省略したい
会計ソフトには,日付,勘定科目,金額,摘要(取引の内容)を入力します。
ここで問題になるのは,摘要(取引の内容)をどの程度入力するか?です。
可能な限り省略して入力すれば,かなりの手間を省くことができます。
ただし,省略しすぎてもいけません。次の2点から考える必要があるからです。
2 経営上の観点から考える
摘要をあまり省略しすぎると,会計ソフトだけでは取引の内容が把握できなくなります。
例えば,
6月分の消耗品費の金額がいつもよりも多い
↓
会計ソフトを見てみる
↓
取引の内容が入力されていない
↓
領収書,請求書を探す
↓
内容確認までの時間がかかる
というように,かえって手間がかかってしまいます。
そのため,ある程度は摘要を入力しておくことが必要です。
また,会計ソフトのデータから,経営に関する資料を作成する際にも会計ソフトに摘要がきちんと入力されている必要があります。
※場合によっては,経費精算書や売掛金台帳から合計で会計ソフトに入力すべきこともあります。
3 消費税法の規定から考える
会計ソフトへの入力内容は,消費税法上で規定されています。
前提として消費税の計算方法を簡単に確認しておきましょう。
消費税の納税額は,売上等にかかる預かった消費税から仕入等にかかる支払った消費税を引いて計算します。
例えば,売上が10,500円,経費が6,300円だったら,預かった消費税は500円,支払った消費税は300円です。
納税する消費税は,500円ー300円=200円となります。
この場合の経費に対する消費税300円を預かった消費税500から引くためには,ある要件を満たさなければいけません。
その要件とは,帳簿,つまり会計ソフトの入力方法です。(請求書等の保存も要件です。)
帳簿には次のような事項の入力が求められます。
(1)年月日
(2)金額
(3)相手方の氏名又は名称
(4)購入した資産,利用したサービス等の内容
このうち,(1)と(2)は,必ず会計ソフトに入力するようになっています。
(3)と(4)については,摘要に入力すべきものです。
どこに,どんな内容で支払ったかという取引の内容を入力しなければいけません。
法律上は,この要件を満たしていなければ,消費税の控除を認めないということになっています。
上記の例だと納税する金額は500円ー0円=500円となってしまいます。
ただし,この要件を満たしていないからといって,即却下されるわけでもありません。
それでも,最低限の入力要件は満たしておいておきたいものです。
内容については見て分かればよく,過度に入力する必要はありません。
上記の1,2,3の観点を満たすような入力方法は会社によっても異なるでしょうし,税理士によっても異なってきます。
当事務所の場合は,摘要を「支払先(スペース)内容」という入力で統一しています。スペースは1カ所のみです。
こうやって入力しておくと,Excelにエクスポート(変換)したときにスペースの位置で区切ることができるからです。
細かい分析をするときには支払先別に集計したり,内容別に集計したりします。
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