今朝未明、平成24年度税制改正大綱が発表されました。
これは来年度の税制改正の案であり、国会で正式決定後、施行されることになります。
今朝から実家の布団の上で、iPadにダウンロードしたPDFファイル(88ページ)を読みながら、ポイントとなる部分をざっくりとまとめてみました。
詳細は随時記事にしていく予定です。
年収1,500万円超の会社員は増税
給与に対する税金は、給与全額に税金がかかるわけでなく、給与所得控除という概算で引くことができる経費を差し引いて計算します。
たとえば、給与2,000万円だと、270万円の経費を引きます。
今回の改正により、給与1,500万円超の場合は概算で引くことができる経費の上限が245万円になります。上記の例だと270万円から245万円に減ってしまいます。
その結果、給与2,000万円で約10万円の増税、給与3,000万円で約37万円の増税となります。
(個々の状況により異なります)
※平成25年分以後の所得税・平成26年度以後の住民税から適用
☆去年の改正でもでていた案です。去年の改正では、役員に対してさらに厳しい制限がありましたが、反対でもあったのでしょうか。
会社員の特別な経費の枠が増える
仕事に必要な資格(弁護士、税理士等)の取得費用や仕事に関係のある書籍購入費、交際費を経費に含めることができるようになります。
※平成25年分以後の所得税・平成26年度以後の住民税
☆これは資格取得者にはうれしい制度でしょう。ただ、金額的に条件を超えるかどうかは微妙です。(年収400万円だと年間67万円以上。次項参照。)
書籍とか交際費も、どこまで入れるかは判断が難しいでしょうね。
会社員の経費の要件が緩和される
これまで、年収400万円の方は年間134万円(給与所得控除の額)を超える金額が特定支出控除として経費に認められていました。
仮に100万円使っていたとしても、134万円よりも少ないので適用がなかったわけです。
今回の改正により、年収400万円の方は、年間67万円(給与所得控除の額の1/2)を超える金額が経費として認められます。
上記の例だと100万円-67万円の33万円が経費です。
年収1,500万円超の場合は、125万円が基準となります。
※平成25年分以後の所得税・平成26年度以後の住民税
☆これはうれしい改正ですね。今まで通りだと適用できる方はほとんどいませんでしたから
役員退職金の課税が厳しく
前回の改正でも挙がっていたものです。
退職金は税金が安くなるようになっています。
ある会社の役員を退職して、退職金をもらい、また別の会社の役員に就任して退職金をもらい・・・・・・ということをしていれば、通常通り給料をもらうよりも税金が少なくて済みます。
今回の改正では、これが制限されました。
勤続年数5年以内なら、税金上の優遇がなくなります。
たとえば、勤続年数3年で退職金を500万円もらった場合、次のように変わります。
(現行)税金は約32万円
(改正後)税金は約51万円
※平成25年分以後の所得税(個人住民税は平成25年1月1日以後に支払われる退職金から)
☆よくこの改正案が挙がったなぁという気がします。法律を決める側に、この改正で困る人がいっぱいいるはずなんですが・・・・・・。
認定長期優良住宅の税金控除の上限額が引き下げ
認定長期優良住宅を新築した場合に費用の10%が税金から控除できる制度があります。
その控除される税金の上限額がこれまでの100万円から50万円に引き下げられます。
制度自体は2年延長です。(もともと平成23年12月31日までの制度でした)
☆促進したいであろう分野なので、引き下げは意外でした。
住居の買い換え又は交換した場合の条件が厳しく
特定の住居を買い換え又は交換した場合に税金が優遇される(課税が将来に繰り延べられる)制度があります。
これまでは売却代金が2億円以下という要件でしたが、これからは1.5億円に引き下げられます。
制度自体は2年延長です。(もともと平成23年12月31日までの制度でした)
☆事例も少ないでしょうし、さほど影響はない変更かもしれません。
贈与税の非課税枠が拡大
直系尊属(父母、祖父母等)から住宅取得のための資金をもらった場合、贈与税がかからない範囲があります。
通常だと1,000万円もらった場合、231万円の贈与税がかかります。
現行の法律(平成23年12月31日まで)は、住宅取得資金の非課税枠は1,000万円です。
1 省エネ・耐震性を備えた住宅
(1) 被災者の方の非課税枠
1,500万円
(2)被災者以外の方の非課税枠(240㎡以下)
平成24年中 1,500万円
平成25年中 1,200万円
平成26年中 1,000万円
2 1以外の住宅
(1) 被災者の方の非課税枠
1,000万円
(2)被災者以外の方の非課税枠(240㎡以下)
平成24年中 1,000万円
平成25年中 700万円
平成26年中 500万円
※平成24年1月1日以後の贈与から適用
☆住宅購入のための資金だけでなく、通常の資金についても贈与の非課税枠が欲しいところです。私がもらうわけではなく、経済の活性化のために(^^;)
省エネ住宅の住宅ローン控除拡大
一定の省エネ住宅に関して、住宅ローン控除の枠が拡大します。
(これまで)
平成24年 控除額30万円が限度
平成25年 控除額20万円が限度
(改正後)
平成24年 控除額40万円が限度
平成25年 控除額30万円が限度
☆枠が拡大しても、全額控除できるかどうかは個々の収入によります。(収入が少ないと全額控除しきれない)影響ないケースも多いです。
復興支援関連
復興支援関連では、次のような制度が新設されました。
・機械等を取得した場合に減価償却の金額を増やすことができる又は税金を控除できる
・被災雇用者を雇用した場合に税金の控除を受けることができる
・開発用研究資産を取得した場合に減価償却の金額を増やすことができる
☆対象区域、細かい要件などがあります。これからもう少し調べてみます。
自動車関連の見直し
自動車重量税、取得税は見直しされつつも、減税が継続されます。
エコカー補助金制度も新設されるとのことです。
☆大きく報道されている部分ですが、ここに焦点を充てるべきだったのか、疑問が残ります。税制に関して、もっと議論すべきところはあるはずですが。
国外にある財産を申告する制度が創設
国外財産調書という制度ができます。
その年の12月31日時点で国外に5,000万円(時価又は見積価額)超の財産がある場合には、翌年3月15日までに書類を提出しなければいけなくなります。
これについて、過少申告加算税と無申告加算税に特例があります。
過少申告加算税とは、税金を少なく申告したときの罰金です。
申告した後に税務調査で指摘され、こちらから修正する場合にもかかります。
追加納税額の10%(特定の場合は15%)を納めます。
無申告加算税とは、税金を申告しなかったときの罰金です。
追加納税額の15%(特定の場合は20%)を納めます。
税金を少なく申告、申告しない場合を一般的に「申告もれ」といいます。
国外財産調書に記載があった財産について「申告もれ」があった場合、過少申告加算税と無申告加算税から5%控除されます。
一方、国外財産調書に記載がない財産について「申告もれ」があった場合、過少申告加算税と無申告加算税に5%プラスされます。
なお、国外財産調書の不提出・虚偽記載があった場合は、1年以下の懲役又は50万以下の罰金となります。
※平成26年1月1日以後に提出すべき国外財産調書から適用
☆さりげなくとんでもない制度が出てきたなぁという感じです。正直に申告すれば、罰金を減らすというのも・・・・・・。
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