野菜の「かぶ」と違い、「株」は取り扱いに気をつけなければいけません。
特に中小企業(上場してない)の「株」は要注意です。
「かぶ」の特徴
野菜の「かぶ」の特徴には、
・値段がついている(写真の「かぶ」は248円でした。ちょっと高いし、状態もあまりよくないです(^_^;))
・自由に分けることができる
・何の権利もついていない
というものがあります。
中小企業の「株」の特徴
中小企業の「株」には次のような特徴があります。
・値段がついていない
上場企業の「株」と異なり、値段がついていません。
譲渡、贈与する場合には、一定の方法により計算して算出することになります。
・自由に分けることができない
一般的に中小企業の「株」は自由に売買できません。
値段がついていないからという理由もありますが、自由に売買できると支障があるからです。
・権利がついてくる
一定以上の「株」をもっていれば、発言権や決定権もありますし、帳簿や決算書類を閲覧することができます。
単なるモノではなく、権利がついてくるのです。
もっとも今は株券を発行しないことがほとんどなので、「株」も目に見えませんけどね。
問題になる場合
中小企業の「株」が問題になる例として代表的なのは、次の3つです。
1 「株」の買取を請求される
中小企業では、株主=役員又は従業員であることが多く、その役員又は従業員が辞めるときに「株」の買取を請求されることがあります。
「利益が出ているんだからこれくらいで買い取ってくれ」という話になりますが、値段がついていないものなので、もめやすいのです。
家族・親戚が「株」をもっている場合にも同様のケースが起きることがあります。
必要がないのなら、下手に「株」を分散させない方が無難です。
「お金を半分ずつ出し合って起業しよう」というケースも、「株」を半分ずつ持ち合うことになりトラブルになることがあります。
2 意外に高いかもしれない「株」の値段
「株」には値段がついていないといいつつも、一定の方法により計算しなければいけません。
この値段が思った以上に高いケースもあるのです。
ざっくりいうと、長年利益を出し続けている企業は、かなりの高額になっている可能性もあります。
「株」を相続したり、譲渡したりするときに問題となります。
3 自由に換金できない「株」
上記2に関連する問題です。
相続で1億円の「株」を引き継いだとして、多額の相続税がかかったとします。
手許に現金がなければ、この相続税を払うことができません。
「株」を売ってお金を作ろうとしても、上場企業の「株」と異なり、誰かに買ってもらう必要があります。
証券会社でポンと売るわけにはいかないのです。
会社の「株」が相続税の計算上いくらの価値があり、そこにかかる相続税をどうやって支払うかと確認しておく必要があります。
こう考えると、下手に「株」をもらうよりも現金をもらった方がいいということにもなりがちで、相続の際にもめることも多いです。
現在『月刊経理ウーマン』に連載中の「税理士のひとりごと」、当初1年間担当する予定でしたが、もう1年継続することになりました。
毎月楽しんで書いていますので、うれしいです(^_^)
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