罰金が半分に減る優良電子帳簿。freee・マネーフォワード・弥生会計での設定と注意点。

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優良電子帳簿(優良な電子帳簿)という制度があります。
メリットは、罰金(過少申告加算税)が半分(10%→5%)になるというもの。
これをやるべきかどうか、会計ソフト別にまとめてみました。

※freeeの画面 by Nikon Z9+105mmF2.8

罰金(過少申告加算税)が半分(10%→5%)になるというメリット

優良電子帳簿。
なんだかなぁというネーミングです。

優良電子帳簿とは、要件を満たした会計ソフトのデータを意味します。
この要件を満たすと、税務調査後の罰金が通常10%のところ5%になるのです。

その罰金とは、過少申告加算税というもの。
税金が少なかったことに対する罰金=ペナルティです。
(その他、延滞税というものもかかります。そちらは半分になりません)

10万円の税金を追加で払うことになった場合、その10%は1万円。
それが優良電子帳簿だと5000円になります。

罰金が100万円なら50万円。
独立してひとりで仕事をしていれば、現実的には、50万円くらいが却下されると追加の税金は、15万円ほど。
その場合は、7.5万円になります。

優良電子帳簿、保険がわりにやっておくといいかなというのが私の見解です。
(あくまで任意です。得することはだいたい任意)

その要件とは、
・データの訂正、削除の履歴がわかる
・いつ入力したかがわかる
・データとデータが関連づけられている
・パソコン、ディスプレイ、プリンタ
・マニュアルがある
・データを検索できる(取引日、金額、取引先等)
といったもの。

会計ソフトを入れておけばだいたい満たします。
その会計ソフトで設定をすればいいという話です。

これらに加えて、書類(規程。ルールを文書化)と届け出が必要となります(その年末または年度末までに)。
規程は、国税庁のサンプルだと、こんな感じです。

—————-

国税関係帳簿に係る電子計算機処理に関する事務手続を明らかにした書類(概要)

(入力担当者)
1 仕訳データ入出力は、所定の手続を経て承認された証票書類に基づき、入力担当者が行う。

(仕訳データの入出力処理の手順)
2 入力担当者は、次の期日までに仕訳データの入力を行う。
⑴ 現金、預金、手形に関するもの  取引日の翌日(営業日)
⑵ 売掛金に関するもの       請求書の発行日の翌日(営業日)
⑶ 仕入、外注費に関するもの    検収日の翌日(営業日)
⑷ その他の勘定科目に関するもの  取引に関する書類を確認してから1週間以内

(仕訳データの入力内容の確認)
3 入力担当者は、仕訳データを入力した日に入力内容の確認を行い、入力誤りがある場合は、これを速やかに訂正する。

(管理責任者の確認)
4 入力担当者は、業務終了時に入力データに関するデータをサーバに転送する。管理責任者はこのデータの確認を速やかに行う。

(管理責任者の確認後の訂正又は削除の処理)
5 管理責任者の確認後、仕訳データに誤り等を発見した場合には、入力担当者は、管理責任者の承認を得た上でその訂正又は削除の処理を行う。

(訂正又は削除記録の保存)
6 5の場合は、管理責任者は訂正又は削除の処理を承認した旨の記録を残す。

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「2 入力担当者は、次の期日までに仕訳データの入力を行う。」というところがネックです。
このとおりにできるかどうか。
「翌月末日までに」というのが現実的ではないでしょうか。

届出書は、こちらのフォーマットのものです。
[手続名]国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出|国税庁

対象の税法、優良電子帳簿をスタートした日を入れておけば問題ありません。
提出はPDF&郵送(Webゆうびんがおすすめ)か、Windowsのみ対応のe-Taxソフト(DL版)でやりましょう。

優良電子帳簿、デメリットは特に考えられません。
不正するとバレやすいということは不正をする場合、デメリットでしょうが。
後述する会計ソフトの設定をするだけです。
(マネーフォーワードは優良電子帳簿をするなら高くなるので、デメリットですが)

もし優良電子帳簿の要件に不備があった場合は、税務調査の罰金が10%のままになります。
これが15%になるわけではないので、設定しておくだけ設定しておけばいいかと。

ただ、注意点はあります。

優良電子帳簿の注意点

この優良電子帳簿は、その年(法人なら年度)全体に対してのものです。
年(年度)の途中からはじめることはできません。

その年(年度)の最初の入力をするとき、現実的には、その年(年度)の最初の月くらいでしょうね。
データを繰り越すと、もうその年(年度)は、優良電子帳簿にできない会計ソフトもあります。

前述の届出書は、年末(年度末)までに出せばいいのですが、実質的な期限はもっと早いということです。

なお、税務調査は、通常3年分をチェックするもの。
優良電子帳簿に該当する年(年度)のみが罰金半分になります。

そして会計ソフトだけで経理をしていることも必須です。
それら以外のもの、Excelやスプレッドシートを使っているなら、それらを取り込む必要はあります。
会計ソフトには、合計で入れて、詳細はExcel、紙というのは優良電子帳簿になりません。

このあたりには気をつけておきましょう。

では、メジャーな会計ソフトごとの優良電子帳簿の設定、現状の対応状況をまとめてみます。

優良電子帳簿の設定 freee・マネーフォワード・弥生

freee、マネーフォワード、弥生会計の2023年3月の状況はこんな感じです。

freee マネーフォワード 弥生会計
対応状況 ✗固定資産台帳 ✗固定資産台帳
コスト 0  +月2,200円 0
設定タイミング いつでも 繰越時 繰越時

マネーフォワード、弥生は、固定資産台帳が優良電子帳簿に対応していません。
固定資産がなければOKかもしれませんが、現状は対応していないと考えていたほうがいいでしょう。
(純然たる固定資産がなくても、10万円超30万円未満で経費にしたものは載せる必要があります)

優良電子帳簿の設定自体はできます。
(通常の電子帳簿と優良電子帳簿の違いは、届け出と罰金が減ることです。)

マネーフォワードは、優良電子帳簿にするならプランを上げなければいけません。
ここまでしてやるかどうかですね。
お金かかるのに完全対応ではないという状況です。
(税抜表示、もうやめたほうがいいかと)

優良電子帳簿の設定は、freeeとその他で大きく違います。

freeeは、いつでも設定ができるのです。
ただ、前述のとおり、年(年度)の途中で優良電子帳簿の設定をしても、その次の年(年度)からとなります。
それでも忘れないうちに設定できるのは大きなメリットです。

優良電子帳簿は、freeeで、[設定]→[事業所の設定]→[詳細設定]の下のほうで設定できます。

freeeの場合は、データに番号をふる設定も必要です。
よしなにやってくれればと思いますが。

履歴は、[設定]→[優良電子帳簿に伴う操作履歴]で見ることができます。

 

このように、いつ何をしたかがわかるのです。
(そのうち、クラウド会計ソフトから税務署へのデータ提供とかあるでしょうね。預金データのように。もうはじまっているかもですが。)
 

 

マネーフォワードは、データを繰り越すときに、[帳簿保存の設定]で設定します。

弥生会計も、繰越をして、

 

そのときに設定します。
これを忘れると、データを消してやりなおすことはできなくはありませんが。

履歴はこのように見ることができます。

   

こういった履歴を見られて困るかどうか。
通常は困らないでしょう。
利益が出そう→経費を水増し、売上を抜く、役員報酬を増やす
ということをしない限り。

何回も修正していたり、ごっそり削除していたりしたら、税務調査であらぬ疑いをかけられる可能性はありますが。
そもそも、その税務調査で、この履歴のチェックがあるというシーンがあるかどうかですけどね。

会計ソフトだけをお使いの方は、届出書はめんどうですが、えいやっと出して、優良電子帳簿はやっておいてもいいかと。



■編集後記
昨日は、午前中に写真の整理→納品。
午後は、ブログ、書籍・社長限定メルマガ執筆など。

近くのスタバのモバイルオーダーが使えず、別のカフェへ。
あの行列に並ぶのは無理です。
たまに故障なのか、モバイルオーダーがダメなときも……。
(混んでいるととめることも。なんだかなーと思いますが)

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■娘(6歳)日記→Kindle『娘日記』・ Kindle『娘日記Ⅱ』
ハリー・ポッターを見せると、気に入ったようです。
杖が欲しい!と。
USJに行ったときは興味がなかったのですけど。
杖、7,500円……。
パパがつくるよと言いました。

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