使いにくいソフトがなかなかよくならないのは理由があります。
そのソフトの改善されるのは諦めて、自分がITスキルを身につけて工夫したほうがましです。
※Keynoteで作成
なぜ弥生会計の推移表は、こんなに使いにくいのか
仕事で使っているソフトで、「うーん、使いにくい」というものは多いのではないでしょうか。
私の仕事で使う会計ソフトもそうです。
推移表とは
たとえば、某弥生会計の推移表。
推移表とは、月別の数字の推移を並べた表です。
■Excelで加工した推移表
・月々の傾向がわかる
・他の月と比較して異常値を見つけやすく、ミスも見つけやすい
・派生してさらに分析できる
といった特徴があります。
私がよくやっているのはこういった使いみちです。
貸借対照表の項目も連動させて、情報量を増やすこともでき、必要なだけお客様ごとにカスタマイズできます。
このように人件費の小計を出すといった任意の集計も楽ですし、
グループ化して、見た目をすっきりさせることもできますし、
セルの中にグラフを表示させたり
売上のグラフをつくったりすることもできます。
最新のExcel本でもメインで取り上げました。
私がExcelで推移表を加工しているのは、会計ソフトが使いにくい、いや使えないからです。
会計ソフトは、試算表という資料がメインになっていますし、それがゴールになっています。
「試算表」という名称どおり、これは試算している表なのです。
昔、手書きで処理をしていたとき、転記が合っているかどうかを確かめるもので、簿記の勉強ではひたすらやりました。
これを元に何かを判断するなんておかしいのではないでしょうか。
私が税理士業界に入ったとき、その「試算表」をお客様に見せて読み上げていたのにはびっくりしました。
会計ソフトの推移表の残念さ
話を推移表に戻すと、会計ソフト(某弥生会計)の推移表はこんな感じです。
まあ、デザインもイケてませんが、余計な数字も多いし、1画面で確認できないし、ウィンドウの幅に合わせて縮小しないし、いろいろと突っ込みたいところはあります。
ま、しゃあない、プリントアウトしようかと、プリントアウトすると、こんな感じです。
(プリンター持ってないし、プリントアウトしないので、プレビューで)
むむむ……上下2段になっています。
上半期と下半期に分かれていて、見やすい!・・・なんてわけはありません。
見にくすぎます。
推移表っていうのは、数字がぱぁっと12ヶ月並んでいて、一覧で見やすくてというもののはずです。
「ふふふ、そんなこともあろうかとこういうプリントアウトもできますぜ」とばかりに、あるのがこの表。
プリントアウトするのをA3用紙に設定すれば、このように表示できます。
ただ、A3って一般的じゃないですし、A3用紙をそろえるコストも大変です。
A3で出せたとしても、会計ソフト特有の問題があります。
このようにページが中途半端になるのです。
1枚に収めるということができません。
昔勤めていたときに、こうやって複数枚になった資料をテープで貼り合わせて縮小コピーさせられていたことがありました。
そのコピーした資料の重要なポイントに蛍光ペンで線を引く仕事も……。
もう悲しくてめんどくさくて、項目を減らして1枚にしようとしたり、Excelでつくったりしていましたが。
そしてExcelでつくったものをカラーでプリントアウトすると、もったいないと怒られたり。
この時代(2001年頃)から、会計ソフトはなんら変わっていないのです。
会計ソフトをExcelへ
会計ソフトは使いものにならない(別の会計ソフトも似たような感じです。消去法で選んでいます)以上、Excelで加工するしかありません。
会計ソフトから、データをエクスポートします。
Alt→F→E(1つずつ押す)で、エクスポートです。
このとき、「お、Excelボタンがある」と、このボタンをクリックしてはいけません。
使えないボタンです。
押すと、たしかにExcelになるのですが、余計な部分があります。
こんなの紙の時代の名残です。
そして、貸借対照表、損益計算書などがシートごとに分かれてしまいます。
(会計ソフトによっては、資産、負債・純資産、損益に分かれるものも・・・)
会計ソフトを横一列に並べて気をつけしてもらって、聞いてもらいたいです。
「ExcelにするのはExcelで加工するため。ただ出せばいいわけじゃない!データとして出してくれ」と。
それだけではなく、このExcel化が別途追加料金という時代遅れな会計ソフトもまだまだあるのが残念です。
気を取り直して、エクスポートしたデータをExcelで開きます。
このデータを加工していては、日が暮れますし毎月やってられません。
伝家の宝刀VLOOKUP関数で、連動させます。
この場合は、2017年4月の売上高を探し出して、連動表示してくれているところです。
こういった数式を入れておけば、すべてのデータを連動できます。
売上総利益、販売費及び一般管理費計、経常利益は、このように引き算や足し算で入れておくのがおすすめです。
科目が増えたとき減ったときにもミスが減り、そもそも弥生会計は、「売上総損益金額」という名称ですので、一般的な「売上総利益」としたほうがわかりやすくなります。
正式なものよりわかりやすさです。
この点からもそのままプリントアウトして使えません。
数式をコピーして、Excelに連動できました。
ふぅと思いきや、10月がやけに好調です。
そっか、10月はがんばったもんな・・と、そんなわけありません。
通常月に比べて多すぎます。
元データを見ていると「かみはんきごうけい」という列があるではないですか。
この列があると、VLOOKUP関数で正しく連動できません。
この場合だと、勘定科目があるD列から数えて、
4月は2列目、5月は3列目、6月は4列目、7月は5列目、8月は6列目、9月は7列目、10月は8列目
の数字を連動させたいところです。
しかし、この8列目に「かみはんきごうけい」があります。
古くからこの件をブログに書き、本に書き、バージョンアップ(それなりのお金がかかる)のたびに、この上半期合計がなくならないか期待しているのですが、いまだそのままです。
現状、下半期のデータを連動させるときは、弥生会計からエクスポートしたCSVデータを開いたときに、上半期合計の列を削除しています。
これが一番速いからです。
ただ、一手間がかかるのは事実ですし、せめてエクスポートするときの設定で、「上半期合計を含む」「含まない」を選ばせてくれればいいのに・・と。
これを工夫するなら、上半期と下半期で、数式を変える手がありますが、美しくありませんし、「同じ列、行には同じ数式を入れる」というExcelの原則にも反します。
会計ソフトのためにその軸を曲げたくありません。
方法としては、次のようなものがあるにはあります。
1つは、IFで場合分けする方法。
連動させる月が7列目以降なら、1つ列をずらしています。
この方法の問題点は、もし万が一、「かみはんきごうけい」がなくなったときに、それまでの数式を全部変更しなければいけなくなる点です。
もう1つは、INDEXを使う方法。
INDEXとMATCHは便利なのですが、私はおすすめしていません。
覚える関数、使いこなす関数は少ないほうがいいからです。
ネ申会計ソフトでなければ、規則正しいデータであれば、VLOOKUP関数で十分事足ります。
INDEXだと、このくらい複雑です。
弥生会計の「4月度、5月度・・」という表示が嫌いなので、力技でこうしています。
そして、弥生会計からエクスポートしたデータでは、「 4月度」。
1月〜9月は、先頭に半角スペースが入っているのです。
データとして扱っていない証拠でもあります。
このために、「2017年4月」から4を取り出して、その数字が10より小さければ先頭に半角スペースをつけるという処理を含めざるを得ません。
ソフトが改善しない理由
こういったソフトが改善しないのは、理由があると思っています。
それは大きな声を取り入れていること。
現場の小さな声は取り入れていません。
会計ソフト、税務ソフトという閉じられた商売であり、古くからあるものは特にそうです。
人が多く、顧客も多いところが声が大きいのは世の常。
会計ソフトを現場で使っているかどうかはそれほど影響しません。
そして、それぞれのソフトは、囲い込みに盛んであり、それぞれが会員制度をつくっています。
弥生会計
https://www.yayoi-kk.co.jp/pap/about/index.html
freee
https://www.freee.co.jp/advisor/
MF
https://biz.moneyforward.com/cpta/advisors/
こういったところは、ソフト代と別にお金を払う場合もあり、それ次第で声も大きくなるものです。
私は無料の範囲でしか付き合っていません。
そうしないとこういう記事も書けませんし、お客様にもすすめられないからです。
税理士を囲い込んだほうが手っ取り早いのでしょうが、問題もあります。
それは、これら会計ソフトを一般のユーザーも使っていることです。
古き大きい声を聞いている中、一般のユーザーが使いやすくなるわけがありません。
会計ソフトを使って自分で経理ができる可能性は十分あるのですが、ひょんなところ、会計ソフト自身がネックになっているという悲しい現実があるのです。
それでも新しく誕生したクラウド会計ソフトには期待していました。
「期待していました」です。
当時、こんな記事も書きました。
この記事を書いた当時の会計ソフト会社社長のコメント、今はもう形骸化してますね。。
むしろ逆に言っとるがなという感じです。;
いまやそのクラウド会計ソフトも税理士側しか向いていません。
だんだんと従来の会計ソフトに近づいているのは残念です。
それでも、この記事のあと、改善がみられた会計ソフトもありました。
まあ、この記事をみてじゃないとは思いますが。
小さな声は確実に上がってきています。
(弥生会計NEXT、ひどすぎます・・。しかしこういった若者の切れ味の鋭さはうれしいものです。安心して引退できます)
弥生会計オンラインはおすすめできない 税理士の私が考えるこのサービスの悪い点3つ – 100メガ
私も弥生会計オンラインはおすすめできません。
リリース当時の書いた記事、改善されていないものもいまだあります。
現場がITスキルを上げたほうが早い
会計ソフトを事例にしましたが、これはどのソフトにも言えるかと思います。
専用につくったソフトが、何千万もするのに使えないということが起こるのも、同じようなことです。
以前勤めていた会社で、5000万円かけてつくったソフトが経理上まったく使えないことがありました。
ソフトが現場の声を拾い上げて改善していくというのを待ってはいられませんので、過度に期待せずにそんなもんだと割り切ることも大事です。
現場で使っている側がITスキルを上げて、工夫したほうが早いでしょう。
(もちろん現場の声を拾ってくださるすばらしいソフト開発者もいますが)
ユーザーは、ITに詳しくない・現場に詳しい
ソフト会社は、ITに詳しい・現場に詳しくない
とすると、
ソフト会社が現場に詳しくなるより、ユーザーがITに詳しくなる方が実現可能性があります。
とびきり詳しくならなければいけないわけではなく、ITにほんのちょっと詳しくなることで、大きく前進するでしょう。
現場も知らない・ITも知らないという方が舵を切る・・・という悲劇もありますが。
前述の例のように、Excel、プログラミングといったスキルや、ロボットの活用もその工夫にあたります。
特定のソフトを使いこなすスキルよりも、汎用性のあるITスキルを身につけたほうが今後役に立ちますし、ITスキルが上がるものです。
汎用性があるものでいえば、、WordPress、Google、Dropbox、Evernoteなどといったものをおすすめします。
こう考えるとワールドワイドなソフトは汎用性が高く、現場のニーズを反映しやすい傾向です。
日本だけを見ている、しかも古いところを見ているソフトが使いにくいのもしかたないのでしょうね。
既存のソフトの足りないところ、不満なところを現場のITスキルで補っていきましょう。
そして、最も大事なのは、ソフトを信用しすぎないこと。
現場のアイデアのほうが豊富で可能性を秘めています。
こういうことができないかなというものは、汎用性のあるスキルでこそ実現するものです。
小さな声が届かないなら、自分で工夫して切り開きましょう。
そして、プロは、特定のソフトに依存しすぎてはいけません。
現場の声を反映してつくっているものではないのですから。
たとえば、会計ソフトの範囲でしか仕事をしていないなら、せっかくの知識とスキルを十分に活かせなくなります。
この記事のサンプルはこちらです。
EX-ITサンプル 弥生会計推移表連動Excel.xlsx
昨日、愛媛から戻ってきました。
早朝は、親戚宅から山ラン。
距離は4kmの往復くらいでしたが、結構手応えがありました。
「あんなところまで、走って・・」と驚かれましたが。
【昨日の1日1新】
※詳細は→「1日1新」
松山空港 みかん鯛めし
みきゃんのキーホルダー
かつおの塩たたきチップス
【昨日の娘日記】
この四国の旅で、新しい経験をいろいろしました。
シャコを初体験。
小豆島のホテルで出てきて、「あ!」と指差して欲しがるのであげてみると、むしゃむしゃ。
(えびは食べているので、大丈夫かと)
愛媛でも市場にあったので買って夕飯に出してみると、むしゃむしゃ。
こっち(東京)で手に入るかどうかですね。
どら焼きもはじめて食べて、満足そうでした。
■著書
『税理士のためのプログラミング -ChatGPTで知識ゼロから始める本-』
『すべてをがんばりすぎなくてもいい!顧問先の満足度を高める税理士業務の見極め方』
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