フリーランス(個人事業主)が、カメラ・レンズを売却または下取交換した場合、注意すべきことがあります。
※手に入れたカメラ(前列)と下取りに出したカメラ・レンズ(後列) by Leitz Phone 1
カメラ・レンズの売却・下取交換の税金上の考え方
カメラ・レンズは、中古市場が活発ですので、売ったり、下取りしてもらい交換したりすることもあるでしょう。
仕事でカメラ・レンズを使っているフリーランス(個人事業主)が、売却、下取りした場合は、「収入」になります。
収入ということは、税金がかかる、つまり確定申告しなければいけないということです。
下取り交換をした場合は、カメラを売る=収入、カメラを買う=経費という2つの取引として考えます。
やはり税金がかかるのです。
確定申告しなければいけません。
カメラ・レンズを売却・下取交換をしたのが、法人なら、シンプルです。
法人で下取り交換をした場合の経理・消費税の注意点
フリーランス(個人事業主)の場合は、ちょっと複雑になります。
カメラ・レンズの売却・下取交換の経理・税金
フリーランスがカメラ・レンズを売却・下取交換した場合、それを買ったときの処理によって次のように経理します。
カメラ・レンズを買ったときは、
・10万未満→経費「消耗品費」
・10万円以上30万円未満→青色申告の場合、経費「消耗品費」
・30万円以上→「工具器具備品」(または「カメラ」)
と処理しているはずです。
カメラ・レンズの経理。勘定科目・30万円未満の判断・中古。
この「消耗品費」にしているか、「工具器具備品」にしているかによって、売却・下取交換のときの処理が変わります。
そのカメラ・レンズをどう処理しているかを確認しなければいけないのです。
さらには、「一括償却資産」(20万円未満のカメラ・レンズで、3年間で経費にする)というものもあります。
それぞれこのような処理です。
買ったときの経理 | 売却・下取収入の種類 | 売却・下取交換したときの経理 |
消耗品費(10万円未満) | 事業所得 | 雑収入 |
消耗品費(10万円以上30万円未満) | 譲渡所得 | 事業主借 |
工具器具備品 | 譲渡所得 | 事業主借 |
一括償却資産 | 事業所得 | 雑収入 |
会計ソフトで記録しているのは、通常、事業所得。
譲渡所得(売った利益)の場合は、別の計算をします。
会計ソフト上は「事業主借」(事業とは関係ないもの。利益にも影響しない)と経理しましょう。
雑収入や固定資産売却益とすると損です。
事例を挙げてみました。
某マップカメラに下取に出したのは、以下の6点。
Panasonic (パナソニック) LUMIX DC-S1 ボディ ブラック | 141,450 |
SIGMA (シグマ) Art 85mm F1.4 DG DN (ライカSL/TL用) | 77,050 |
Panasonic (パナソニック) LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0 ASPH. H-E08018 | 58,650 |
FUJIFILM (フジフイルム) フジノン XF 10-24mm F4 R OIS | 42,550 |
Panasonic (パナソニック) LUMIX S 50mm F1.8 S-S50 | 36,800 |
Panasonic (パナソニック) LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 S-R2060 | 35,650 |
これらはすべて、買ったときに「消耗品費」で処理しているとします。
このうち、Panasonic S1は、10万円以上30万円未満なので、同じ「消耗品費」でも意味合いが変わり、売ったときに「事業主借」、譲渡所得として計算するのです。
それ以外は、「雑収入」で、事業所得に含めます。
交換で手に入れたのは、Sony α7SⅢ 389,800円。
6つのカメラ・レンズと交換……。
ラスボス級です。
Sony α7SⅢは、30万円以上なので、「工具器具備品」となります。
結果、会計ソフトへの入力はこうなるのです。
差額を払うか、受け取るかで、処理が変わってきます。
この事例では、2,350円振り込まれました。
工具器具備品 | 389,800 | 事業主借 | 141,450 |
預金 | 2,350 | 雑収入 | 77,050 |
雑収入 | 58,650 | ||
雑収入 | 42,550 | ||
雑収入 | 36,800 | ||
雑収入 | 35,650 |
では、譲渡所得はどう計算するか。
まとめてみました。
カメラ・レンズの譲渡所得とは
譲渡所得は、確定申告書作成コーナー(国税庁サイト)では、この部分で計算するもの。
売った金額-売るのにかかった経費-買った金額(※)で売った利益を出し、50万円をひいて税金を計算します。
それが譲渡所得です。
土地・建物、株式以外を売って50万円以上利益が出なければ税金はかかりません。
今回の事例では、Panasonic S1を182,850円で買って、「消耗品費」にしているとします。
(「工具器具備品」にしている場合、それまで経費にした分、つまり減価償却した分を差し引きます)
売った金額の141,450円-182,850円だとマイナスです。
(売るのにかかった経費はなし)
マイナスだと税金はかかりません。
50万円を引くことなく。
カメラ・レンズだけで考えると、1年間でトータル50万円の利益が出なければ税金はかからないということです。
カメラの売却で利益を出すのはなかなか難しいもの。
安くで手に入れるか、メルカリ・ヤフオク等で高く売るかでないと、売ったことによる税金はかからないでしょう。
ただ、計算はする必要はあります。
売却や下取交換は便利で助かるものですが、経理や税金面では気をつけましょう。
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