官公庁のネ申(神)エクセルが話題になっています。
何が問題なのか、どうすればいいのかについてまとめてみました。
※スクリーンショットで作成
仕事の効率化は、すべての工程で考える
仕事の効率化。
効率化する場合には、常に意識しなければいけないことがあります。
それは、「すべての工程で効率化すること」。
たとえば、次のような場合は、すべての工程で効率化とはいえません。
・手書きの請求書は、ささっと書けますが、それを会計ソフトへ入力しなければいけません。入力側の負担は減らないのです。
→ソフトで請求書を作れば、そのデータを活用し、会計ソフトへ連動または取り込みができます。
・経費をソフトに入力してもらう場合、入力後のデータをもらう側は楽です。
ただ、使いにくいソフトに入力する側は大変で手間がかかります。
→入力側の効率化も考えなければいけません。
・データ活用をしない、できない場合、相手へ紙で要求してしまいます。紙だと手書き、プリントアウト、郵送の手間がかかります。
→データ活用、加工ができれば、自分たちも楽になるはずです。覚える・慣れるコストはあるとしても。
・faxで送れば楽かもしれませんが、受け取った側はプリントアウトまたはデータで見ながら入力しなければいけません。
→データで送る、共有できれば、受け取った側はデータを加工できます。
・電話を思いついたときにかければ楽ですが、取る側はいつでも対応できるわけではありません。着信で気が散ったり、かけなおしても今度は向こうが出られないこともあります。
→メールなら、対応のタイミングが自由です。
私が総務省にいた1997年から2000年も、この問題や効率化を考えない姿勢を見ることがありました。
・プリントアウトした帳票をExcelへ手入力。
・Word(ときには文豪ミニ)で表を作り、1つずつ手で修正
・上司が手書きした文書をWordで清書
・メールで送られていたデータをプリントアウトして10数カ所へ配布。配布先ごとのボックスがあり、そこに入れておくと、各部署から定期的に取りに来る
などなど、不思議なことがたくさんありましたが、それから10数年、ネ申エクセルがあるということは、まだまだ変わっていないのかもしれません。
その後、税理士業界に入ってからも、同様のことは多く、まだまだ残っています。
・Excelをみながら会計ソフトに入力する
・会計ソフトからプリントアウトとした表を見てExcelやWordに入力
・ExcelをPDFにしてFAXしてもらい、そのFAXを見て入力。
・PCが1人1台なく、共用。パートの方が帰ってからようやく使えるようになる
・ネットにつながっているPCが1台しかなく、順番待ち。
・個人ごとのメールアドレスがなく、税理士事務所で1つ。
デジタルがいい、PCがすべてというわけではありません。
ただ、デジタルやPCは、「すべての効率化で効率化すること」がやりやすいのです。
Excelを使う場合も、効率化でできているかといえば必ずしもそうではありません。
官公庁、役所のExcelは、ネ申エクセルといわれて話題になっています。
ネ申エクセル=神エクセル、紙エクセル。紙のようなExcelの使い方のことをいい、Excel本来のよさが感じられません。
ときには怒りすら感じます。
ネ申エクセルの3つの問題点
私もそのExcelをダウンロードしてみました。
いろいろと問題点はあります。
1 1セル1文字
Excelはこのようなフォームです。
驚くべきことに、1つのセルに1文字入れるようになっています。
これを入力するなら、「東」「京」・・・と、1つずつ変換しなければいけません。
多大な手間がかかります。
私がいた、総務省でも、これを見たことがあり、指摘すると、「だって、文字入りきらないじゃん」といわれました・・・・。
2 データを活用できない
Excel、デジタルのよさは、そのデータを活用できること、いい意味での使い回しができることです。
Excelに一度入力したら、他のファイル、他のソフトで入力してはいけません。
データをそのまま使えるはずだからです。
ただ、このネ申エクセルでは、それができません。
「東京都港区・・・」とあれば、まだ可能性はありますが(それでもマクロを使う必要があり大変ですが)、「東」「京」「都」・・・とあるので手間です。
セルを結合する方法はありますが・・。
Excelに入力してもらって提出されても(このフォーマットは応募のために使うもの)、それをプリントアウトして使うか、それを入力しているのでしょう。
入力側も手間ですし、受け取る側も手間です。
すべての工程で効率的ではありません。
3 マクロの無駄遣い
該当のネ申エクセルは、マクロが入っています。
ところどころで警告が出るのです。
こういったマクロが入っています。
マクロの先に、入力をなんとかしなきゃ・・というところです。
これが官公庁でも企業でも、実は問題になっています。
マクロを作ったのはおそらくシステム側の人間(エンジニア、プログラマー)。
技術力はあり、マクロを書くことはできるのですが、それが本当に効率的なのかどうかを考えてなく、1セル1文字が非効率であることも意識していません。
警告を出すというマクロを忠実に組み込んでいるだけなのです。
実際に使う側、現場は、マクロやプログラムがわからないのでブラックボックスになり、仕事の改善ができないという悪循環に陥ります。
ネット申し込みならフォームを使う
こういった使い方で、Excelならどうすべきか。
どうしてもExcelでやるなら、せめて入力箇所はこうすべきでしょう。
ただ、そもそもExcelでやるべきものはありません。
最近も、フルマラソンの申込でExcelがありました。。。
入力がめんどくさくて、申込をやめたくらいぐらいです。
この申込方法なら500円割引が適用になるとのことでしたが、やめて他のサイトから申し込みました。
「西暦 年 月 日生まれ」という欄の間に数字を入れるなんて手書き感覚でしかありませんし、Excelがかわいそうです。。。
では、Wordならいいかというと、そうでもありません。
郵便番号の「ー」、日付の「 年 月 日」など、Wordでは入力しにくく、やはり手書き時代の名残といえるでしょう。
入力だけを考えるなら、まだPDFのほうが楽です。
ただ、PDFに入力できない方もいらっしゃるかもしれません。
(Macだと[プレビュー]で入力できます。
ネットからの申込の最適解は、フォームでしょう。
Googleフォームなら、無料でかんたんにつくれます。
【関連記事】新Googleフォームで問い合わせフォームを作る方法&自動返信メール設定
リンク
このように入力してもらうと、
データが蓄積されていくのです。
セキュリティうんぬんいうのなら、きちんと依頼してサイトに埋め込めばいいでしょう。
効率化できない犠牲は、人が払っています。
残業代を払っている場合、フォーム設置のコストは残業代よりも安く済み(今回の場合は税金の無駄遣いですが)、残業代を払っていたって、人の時間を犠牲にしているのは事実です。
このネ申エクセルは、
・利用する側の時間
・そのデータを扱う側の時間
を犠牲にしています。
いまやITに関しても様々な選択肢がありますので、その中で最適解を見つけるには、前述した
・すべての工程で効率化を考える
のほか、
・試す→いろんなツールを試してみる
・疑問に思う→1セル1文字に疑問を持つ、何回も入力することに疑問を持つ
といったことが大事です。
昨日は、陣場山トレイルラン。
23kmという距離でしたが、トレイル(山を走る)ので、制限時間は4時間半。
(通常なら2時間以内に完走できる距離)
チームメイトと参加し、無事完走できました。
が、昨日は帰宅後爆睡。今日も筋肉痛です・・。
【昨日の1日1新】
※詳細は→「1日1新」
陣馬山トレイルラン
藤野やまなみ温泉
THITA SCをレースで使用
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