独立後ひとりでやっていても、「オフィスを借りたい」と思うときがあるかもしれません。
そんなときにチェックしたいポイントをまとめてみました。
※お台場から見えるオフィス、マンション by Leica M10
オフィスを借りるか借りないか
独立後オフィス=事務所を借りるかどうか。
オフィスを借りるのは一般的に、売上が増えてきて人を雇うようになり、そのために場所が必要という理由が挙げられるでしょう。
ただ人を雇ってなくても、オフィスを借りれば自分だけの城を持つことができますし、自分好みのオフィスにすることができ、打ち合わせ場所としても使うことができます。
プライベートと仕事をきっちり分けたいというニーズもあるでしょう。
ただし、オフィスを借りるとデメリットもあります。
借りたいなあと思ったときに、そのデメリットも含めて考えなければいけません。
私は今オフィスを借りてなく、自宅とコワーキングスペースだけにしています。
(コワーキングは近々解約する予定です。)
今もそうですが、リビングでだいたいこんな感じです。
(今は毛布にくるまりつつ)
書斎として部屋はあります。
(瞬間的にこんな感じで、いつもそうではありません)
ただ、これまでひとりの状態でもオフィスを借りていた時期がありますので、オフィスのタイプによる違いについて、まずまとめてみました。
私のオフィス歴
私のオフィス歴はこんな感じです。
2007年8月から2011年6月まで 秋葉原近くの居住用マンション
2013年1月から2014年12月まで 水道橋近くのオフィス
2014年7月から2016年2月まで 目黒で自宅兼オフィス
自宅兼オフィス(お客様も)
上記以外の期間や今も、自宅兼オフィスといえばそうなのですが、オフィスとして使ってるのは自分だけで、お客様を呼ぶということはしていません。
目黒のときは居住スペースを奥とキッチンにして、玄関から入ったリビングを完全なオフィススペースとして使っていました。
生活感をなくして。
間取りによってはそういったことも可能です。
オフィスタイプ
純然たるオフィス=事業用の物件です。
セミナールームとして借り、自分が仕事をするときは適当な席に座ってやっていました。
デメリットとしては
・保証金が高い(そのときは6ヵ月でした)
・退去予告期間が長い(6ヶ月前でした。)
・宅配ボックスがない(受取がめんどう。自宅に送ってました)
・突然の来客がある
・トイレが専用ではない
・ゴミを自由に捨てられない。事業用ゴミになる。
といったものがあります。
トイレが専用でないというのも、地味にデメリットでした。
掃除しなくてもいいというメリットもありますが。
レンタルオフィス
ブースタイプになっているレンタルオフィスも一時期借りたことがあります。
コワーキングスペースにおまけのような形でついてきたときがありましたので。
ただ、まともにそこで仕事をしたことはありません。
土日夜は冷暖房が切れますし。
契約前にはわからなかったことでしたが、まあ土日夜は仕事しないので困りませんが。
なによりも電話の声がうるさすぎて仕事になりません。
たまたまそういう方が多かったのかもしれませんが、そういう可能性があるということは考えておいたほうがいいでしょう。
周囲の音が聞こえないようなイヤホンをしておけばいいといえばいいのですが 。
レンタルオフィスは仕事に集中できるか。電話がネック。 | EX-IT
居住用マンションタイプ
居住用のマンションをオフィスとして使うこともできます。
当時の写真(TV取材)。だいぶぼやけてますが。プリンターもありますね……。
デメリットとしては、
・オフィス、事務所利用可能でない物件もある
・オフィス利用可能でも敷金・保証金が高くなる場合がある
・間取りによってはキッチンスペースや風呂のスペースが無駄
・トイレがユニットバスの場合もある
・登記できない場合が多い
などというものがあります。
私が借りたところでは、敷金が+1ヶ月でした。
キッチンスペースがあると料理もできていいかもしれませんが、掃除の手間や調理道具を2つそろえる非効率さを考えて、私は自ら禁じていました。
コーヒーを入れたりホームベーカリーでパンをつくったりはしていましたが。
私が借りたのはそれぞれ1回ずつですので、物件特有のデメリットもあります。
前提としてそれを考えておいていただければ。
オフィスを借りること自体のデメリットも考えつつ、チェックポイントをまとめてみました。
オフィスを借りたくなったときのチェックポイント
オフィスを借りたくなったときに今一度次の点もチェックしてみましょう。
人を雇わずという前提です。
1 家賃という固定費がかかってもいいのか
オフィスを借りると家賃という固定費がかかります。
月10万円ならその10万円が毎月何もしなくても、売上が落ちても、やる気がなくてもかかるわけです。
これをどう考えるか。
たとえば10万円×12ヶ月で120万円と考えると、出せない金額ではないかもしれません。
ただ今はかかっていないその金額がかかること、その金額を超えるメリットがあるかどうかというのは、何度も考える必要があるでしょう。
その他、通信費(ネット)、電気、水道、ガス(使うなら)も自宅に加えてかかります。
モノが2か所に分散するデメリットも。
自宅で、「あ、オフィスにある……」、オフィスで「あ、うちに置いてきた」ということがなんどあったか。
(基本的にモノは自宅に置いていました)
何かを取りに行くために、オフィスに寄らなきゃいけないなんてことも。
2 初期費用がかかってもいいのか
家賃だけではなく、初期費用もかかります。
敷金、礼金、仲介手数料、ときには保証料など諸々のお金がかかるわけです。
居住用であればざっくり家賃の6ヶ月、オフィス用であれば10か月分かかることも。
敷金のように戻ってくる可能性があるお金もありますが、そうでないお金もあり、一時的とはいえ大出費です。
それも交えて借りるかどうかを考えましょう。
3 文字通り固定されることを考える
オフィスの家賃は固定費といわれますが、その他の部分でも文字通り固定されてしまいます。
たとえば今日借りるのをやめたいといっても、居住用なら1か月から2か月、オフィスタイプだと半年以上後でないと解約することができません。
もし売上が下がったり、私のように3ヶ月入院したりしたときにも、方向転換が効かないわけです。
気がかわって「やっぱりオフィスいらないや」ってなっても、解約までに時間がかかります。
環境が変わって(結婚、出産、介護なども含めて)、解約するということもあるでしょう。
4 そのお金で他に何が買えるか
家賃にかかるお金で何が買えるかを考えてみましょう。
たとえば10万円なら結構なものが買えます。
パソコンは2ヶ月分ぐらい必要かもしれませんが、タブレットやスマホを買い換えたりもできますし、本を好きなだけ買ったり、セミナーに行ったりということもできるものです。
それが毎月できると考えて、そちらのほうがよければ、家賃をかけるべきではないでしょう。
法人なら、自分の給料に上乗せして自由にプライベートで使うこともできます。
5 お金を借りてまでオフィスが必要か
初期費用その他もかかるので、オフィスを借りる前にお金を借りるという手もあります。
(物件の支払いをする前に借りる必要あり)
理由が明確なので借りやすいほうではあるのですが、果たしてそれが正しいかどうか。
お金をたとえば、200万円借りて、初期費用その他に使ったとしても、その分は返さなければいけません。
もちろん借りたほうが安全ではあるのですが、お金を借りてまでオフィスが必要かどうかは考えるべきでしょう。
また、お金を借りて気が大きくなり、無駄にいろいろとそろえたり、「借りるからいいや」と家賃や初期費用が高めのところを選んだりは決してしないようにしましょう。
(経験者は語る)
6 不動産会社とのやり取りをするか
物件を探したり、不動産会社に問い合わせたり、申し込んだり、契約したりという手間もあります。
もちろんそれを超えるメリットがあれば、やるべきですが結構面倒くさいものです。
不動産にはおとりの物件もありますし(問い合わせをもらうため)、いざ見に行ってみると全然違っていたという場合もあったりもします。
デメリットがあるなら最初から言ってくれればいいのに…‥と思いますが。
誤解を恐れずにいえば、私は不動産の契約のときに、それほどいい思いをしたことがありません。
その場ではいい人でも契約後にそうじゃないことがわかったり…とか、住んでみてわかったこととか(事前に知っていた感じ)。
退去するときもやり取りをしなければいけませんし、お金が絡む問題も出てきます。
オフィスを借りなければこういったこともやらなくてすむわけです。
7 その都度借りれる場所がないか
私が独立した当初はともかく今はその都度借りるということもできます。
かといってコワーキングスペースやバーチャルオフィスの会議室を使おうと思ってもなかなか空いていなかったりもしますし、毎回借りる手続きもめんどうです。
今だと複数の会議室をネットでかんたんに借りることができるしくみがあります。
スペイシー、インスタベース、スペースマーケットといったようなところを使えばネットで予約ができ、カードで決済できるので、利用してみましょう。
(セミナー会場はそうやっています)
会議室によってはよし悪しがありますので、実際に使ってみないとわからないところもありますので、1時間でも30分でも借りて、試してみるということは欠かせません。
何名とか、だいたい多めに書いてありますので。
「入るだろうけど実際には使えないでしょう」というものが多かったりもします。
写真はきれいだけど実際はそうでなかったりということも。
8 モノを減らせないか
モノ、資料を置くためにオフィスを借りるというのであれば、それらを減らせないかどうか考えてみましょう。
・紙であればスキャンしてデータにできないか
・紙を使わないような仕事のやり方に変えていけないかできないかどうか。
そうすればオフィス代がかからないわけですし、移動させなくても済みます。
この辺のお手伝いも個別コンサルティングで承っています。
家賃より安いです。
9 ひとりで集中できないか
自宅だと集中できないからオフィスを借りるという場合、本当にひとりで集中できないことかを考えてみましょう。
私の経験ではオフィスを借りても寝ますし、やる気がなければ仕事は進みません。
最初はワクワクしますか場所に慣れてきて結局一緒になってしまうのです。
オフィスをセミナールームとして借りていたときは、そこでほとんど仕事をしたことはありませんでした。
それならばカフェで仕事をできるようにするのも手です。
・持ち運べるノートパソコンを使う
・ノートパソコンの電源管理を工夫する(モバイルバッテリー、コンセント)
・機密情報、特に紙を持ち出さないような工夫をする
・電話を使わないですむ仕事にシフトする(その場で出ることができませんし、かけることもできませんので)
・安全にネットにつなぐ術を知ってそれを使う
・狭いスペースでも仕事ができるようにマウスを使わないようにする(キー、バットを使う)
・お気に入りのカフェを複数見つける
といったことが欠かせません。
この辺のお手伝いも……。
10 オフィスがあったほうが本当にかっこいいか。
オフィスがあったほうがかっこいい、儲かっている、成功しているというイメージもあるでしょう。
外向けのイメージというのは大事ですが、イメージだけでは食べていけないのが現実です。
・オフィスがあったほうが本当にかっこいいのかどうか
・オフィスがないとその仕事の依頼を受けることができないのか
・オフィスがないと信用されないのかどうか
ということを今一度考えてみましょう。
私自身このイメージを求めて、オフィスを独立当初借りてしまいました。
(それ以降はそれなりの明確な目的があって借りたのですが。)
お客様ゼロでオフィスを借りるのがかっこいいと思っていましたから。
かっこいいわけではなく、ただ無謀・無駄・無意味でした。
正直、私はオフィスがあったことでメリットがあったとは思いません。
オフィスがあるから単価が上がったとはいえませんし、仕事の数が増えたともいえないのです。
もしそういうことがあるなら、自宅兼オフィスの場合、単価を下げなきゃいけませんし、仕事の数ももっと減らさなきゃいけないという変な話になります。
どこにオフィスを構えているかと、値段や仕事の内容というのは関係ないものです。
とはいえイメージというのはありますので、失う仕事をもあるでしょう。
そういった失う仕事も含めて覚悟をして、「オフィスを借りない」という選択をしなければいけないわけです。
(これはオフィスに限ったことではなく、あらゆる選択に言えますが)
またオフィスをどこかに借りたとしても、もっときれいなオフィス、いい場所にあるオフィスは山ほどあります。
居住用マンションを借りていたら、「マンションか…‥」と思われる可能性もありますし、自分としては最大限の投資をしてオフィスタイプを借りたとしても、「狭いな……」と思われることもあるでしょう。
上を求めるとキリがありません。
自宅兼オフィス(オフィスなし)のいいところは、それ以下はないので、その部分を割り切れることです。
他で勝負しなければいけないのでシンプルになります。
このイメージを考えるにしても、お客様に対してだけ考えるようにしましょう。
同業、先輩、仲間から、「オフィスも借りてないのか」といわれても気にしてはいけません。
オフィスがないからって仲間外れにされたらそれまでです。
11 家賃分の仕事ができるかどうか
家賃をたとえば10万円として、その分の仕事を、オフィスを借りた後に増やせるかどうか。
ご自身のメニューで考えてみましょう。
1件なのか、2件なのか、もっとなのか。
その10万円ぶんの仕事を、明確にイメージできるかどうか、明確でなくてもできる自信があるのなら、オフィスを借りてもいいのかもしれません。
逆にいえばその10万円分、我慢しなければいけない場合もあります。
・家賃があるから仕事を断ることができない。
・家賃があるから、この仕事はちょっといろいろあるけど受けておこう。
と考えてしまっては、元も子もありません。
12 家族がいるから、こどもがいるから仕事ができないのか
家族がいる、子供がいるから、家で仕事ができない。だからオフィスを借りる
または
家族ができた、子供ができたからオフィスを借りるという考え方もあるでしょう。
そのためだけに家賃の固定費がかかったら、家族全体のお金が減るということでもあるので、家族全体でどうにかできないか考えたいものです。
自分専用の部屋をつくるとか。
日中は集中して仕事をしたいので、いないものと思ってもらうとか。
家族が働いていたり学校に行ったりしていて、帰ってきたら仕事にならないというケースもあるかもしれません。
そうであれば、いない時間帯に仕事を終わらせることができないか、圧縮できないかというのも考えていきましょう。
いっそ仕事ができる環境も含めて引っ越しを考えるというのも手でしょう。
他の場所にオフィスを借りるよりも、自宅を引越しして、たとえ家賃が上がったとしてもそっちの方がよい場合もあります。
私の今の家は、子供が生まれるのがわかってから探したところですので、周囲の環境はもちろん間取りも書斎が持てるようなところ、そして、自宅近くに複数のカフェ(仕事場)があるところ、公私ともに刺激、体験を得られるところを選びました。
まあ、書斎でほとんど仕事してないですけど
13 通うかどうか
自宅から歩いて行ける場所にオフィスを見つけることができればよいのですが、そうではない場合、通わなければいけません。
そのぶんの交通費や手間も考えましょう。
せっかく通勤というものがなくなったのですから。
通うにしても通勤ラッシュの時間には通いたくはありません。
かといって10時11時頃に行こうとすると、「じゃあお昼は家で食べて行こうとか」ってなり、「じゃあ今日はもういいや」になってしまいましです。
私が実際そうでした。
朝の通勤ラッシュを避けて、早朝に通えばいいやと思い、私もそれをやっていた時期がありますが、早朝の電車はなんだか雰囲気も暗くてすいてはいるのですが、それほどテンションが上がりません。
朝帰りの方々も多いので逆にテンションが下がることも。
冬の時期は日が上るのが遅く、真っ暗で寒い中、駅に向かうというのは仕事のよいスタートとはとてもいえません。
そういう中通うことがモチベーションになるかなと思っていた時期もありますが、寒いのは寒いし、暗いのは暗いし、私は合いませんでした。
できれば通わずにすむような場所に借りることができるなら理想でしょうね。
自宅と同じマンションとかいいなと思って探していたこともありました。
14 節税対策が他にないか
利益も出てきたし、税金も増えてきたんで、節税の意味も含めて家賃を払ってもいいかなと思うかもしれません。
月10万円で年120万円というと、他のものでなかなかつくろうとしてもつくれません。
120万円で税率が30%だとすると36万円税金が減ります。
ただ、70%の84万円は出ていてしまうわけです。
それをどう考えるか。
本当に他に節税の方法がないかどうかも含めて考えてみましょう。
お金を使うと節税にはなるのですが、お金が減るのも事実です。
ひとり税理士が考える脱税と節税&フリーランス・ひとり社長におすすめの節税策。 | EX-IT
以上のようなチェックポイントを挙げてみました。
踏みとどまることができたら、その分で、好きなもの・欲しかったもの・気になってたものをちょっとだけ買いましょう。
あくまでちょっとです。
一度借りてみたいなと思うのなら、借りてみるというのも手でしょう。
その場合は解約のタイミングをしっかりと確認しておき、解約まで考えておいたほうがいいでしょうね。
もちろん気に入ればずっと借りることもできますが。
■編集後記
昨日は午前中に上野動物園に行き、午後は、セミナーへ参加しました。
とあるセミナーに参加
上野動物園でポテト、牛乳
■娘(2歳)日記
上野動物園に着いて、「何見る?」「ゴリラ?ぞうさん?」と聞いても、あまり乗り気でなく……。
と思っていたら、「おなかすいた」と。
いつもは、上野駅の構内で食事していくのですが、今回は時間帯も早めですが、おなかはすいたようです。
ポテトを食べ、元気になり、ゴリラへ。
最近はゴリラがよく見えますし、よく動いてくれます。
なお、パンダは相変わらず50分待ちでした。
「パンダみたい!」と言わないのが幸いですが。
■著書
『税理士のためのプログラミング -ChatGPTで知識ゼロから始める本-』
『すべてをがんばりすぎなくてもいい!顧問先の満足度を高める税理士業務の見極め方』
ひとり税理士のギモンに答える128問128答
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税理士のためのRPA入門~一歩踏み出せば変えられる!業務効率化の方法~
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AI時代のひとり税理士
新版 そのまま使える 経理&会計のためのExcel入門
フリーランスとひとり社長のための 経理をエクセルでトコトン楽にする本
新版 ひとり社長の経理の基本
『ひとり税理士の仕事術』
『フリーランスのための一生仕事に困らない本』
【監修】十人十色の「ひとり税理士」という生き方