税理士は、AI・ロボットによりなくなるかどうか試してみた。WinAutomationによる法人税申告書作成自動化。

  • URLをコピーしました!

税理士、税務申告代理業はAIによりなくなるといわれています。
私の仕事、税理士は税務申告代理業の要素も含んでいるのも事実です。

実際、なくなるかどうか試してみました。

現実的になくなる可能性もあります。

EX-IT_No-11

※自宅にて iPhoneX

コンピューターによりなくなる仕事

コンピューターによりなくなる仕事として、税理士は話題に上がることが多いです。
そう思いますし、現状でもその流れはあります。

そもそもコンピューターによりなくなる仕事なら、遅かれ早かれ手放すべきと考え、工夫しているところです。
無理に囲い込んでしまうと、安く長く働くことにもなってしまいます。

逆にいえば、コンピューターにより、仕事が楽になり、自分でもできるようになっているのでいいことでもあるわけです。
クラウド会計ソフトが出てきて、敷居も下がり、いい方向に流れている部分もあります。

(クラウド会計ソフト自体は迷走しているところもありますが)

そして、AI(人工知能)。

AIにより仕事を奪われるといわれることが多いのですが、本当にそうなるのかまだ先なのか誰にもわからないことです。

税務の判断をAIができるようにはなるでしょうし、節税を教えてくれるかもしれませんし、経費かどうか大丈夫かどうかを教えてくれるのかもしれませんが、現状はそういったものはありません。

現実問題として、仕事をなくす(なくしてくれる)のは、ロボットの可能性が高いです。
先日も紹介したソフトウェアのロボットを使ったRPA(Robotic Process Automation)なら、現状でも自動化が進んでいます。

もっといえば、Excelマクロによるプログラミングによる自動化もずっとあるものです。
(私は20年前から使っています)

税務申告書をロボットがつくれる時代

そのRPA(正確にはRDAですが)で、法人税の税務申告書をロボットがつくってくれるか試してみました。

まず、こういったデータをExcelに準備します。
シンプルな会社であれば、このくらいのデータがあれば、税務申告書はつくれるものです。

前期の税金(で当該年度に払ったもの)は事例をかんたんにするため、最低限の7万円を払っている東京都の会社と仮定します。

EX-IT_No-00

税務申告書をつくるときにやっているのは、次のようなことです。

・前期の税金を法人税の申告書の別表五(二)に入力する
(別表ってのがややこしい名称ですが、表の番号と思っていただければ)

EX-IT_No-10

・交際費の金額を別表十五に入力する

EX-IT_No-08

・決算書の当期純利益(一番下の利益)を別表四に入力

EX-IT_No-09

ここまでやれば、別表一で税金(法人税、地方法人税)が計算されます。

EX-IT_No-02

自動で地方税(この場合、東京都民税、事業税、法人地方特別税)が計算されます。

EX-IT_No-04

 

この後、厳密には、税金の金額を会計ソフトに未払いで入れて・・・といった処理をするのですが、ひとまずはここまででほぼ完成なわけです。

EX-IT_No-06

動画も作ってみました。

WinAutomationというソフトで、
・Excelを開き、データを読み込み
・税務ソフトを起動し、該当データを開き、読み込んだデータを転記

しています。

税務ソフトのつくり(見た目も)がイケてなく、プログラムに苦労しましたが、なんとか安定して動いています。

メニューボタンを画像で認識してそれをクリックという力技も使いました。
ウェブ上のソフトだともっと安定してかつかんたんにプログラムがつくれます。
WinAutomationについては、別途記事にする予定です。

法人の税務申告書は、このほかにも勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書などといった書類がありますが、同様の手順でつくるだけならロボットができます。

消える仕事・消えない仕事を見極める

自分の仕事で何が消えるのか、消えないのかの見極めは大事です。

その場合、同業、大企業、中小企業だけではなく、AI・ロボットも研究対象になります。
そもそも今でも同業や大企業に勝てない仕事は手放すべきですし、その対象としてAI・ロボットが出てきて、AI・ロボットに勝てない=任せるべき仕事は手放すだけです。

そう考えると、税務申告代理業は、消える仕事だと思っています。
これはAI・ロボットに関係なくです。

そのため、そこに私は課金していません。

税務申告書作成料としてのメニューはありますが、それは、今回ロボットがやった部分ではなく、その他の部分を提供すると考えています。

税務申告書は、特に利益をどうやって確定させるかが重要なわけです。

EX-IT_No-00

もちろん、AI・ロボットにも利益を確定させることはできるでしょうが、それが数字的に正しいのか、生き方的に正しいのかなどはわからないでしょう。

生き方的にというのは、いくら利益を出していても時間に追われいい仕事ができていないなら価値がないという意味です。

私の価値観ですが。

こういった自分の価値観を反映させる仕事は、消えないと考えています。

消える仕事でも、条件つきで消える仕事もあるでしょう。
AI・ロボットがやるとしても、それゆえの時間はかかりますし、お金もかかります。
それが、人間よりもはるかに高いのであれば、消えないはずです。

AI・ロボットを研究してみて、どのくらいの値段かを考えていきましょう。
なお、今回のデモに使ったのは、

・法人税務申告ソフト(JDL 組曲Major) 60,480円(1年間)

(勘定科目内訳明細書は別途10800円
・WinAutomation 399ドル(買い切り)

(1,199ドルのプランもありますが、今回の機能ならこの値段のプランで十分です)

です。

WinAutomationの約4万円は、他の用途にも使えますし、そう考えると、ひとりでも手が届く値段にはなっています。

全力法人税だとネットで提出はできず、1社のみでしか使えませんが、より使いやすく安いです。

法人税の税務申告書は、税理士に丸ごと依頼せず、自分でつくることも不可能ではありません。
そのため、自分でつくることをサポートする単発のプランも行っていますし、こういった本も書いています。

私にとっては、税務申告書代理業は、消える仕事でもあり、消せる仕事という位置づけです。
プロの手を借りないと税務申告ができないなんて世の中は望んでいません。

自分の仕事で消えるもの、消えないものを徹底して考えていきましょう。
消えない仕事なら、他との違いも出せるはずです。
消したくないと思ってもテクノロジーの進化は止められません。


【編集後記】

昨日は、お客様とスカイプで打ち合わせ。
長いお付き合いのお客様、新たな展開に向けて着実に進まれていて、刺激もいただきました。

そういえば、「税理士のいい悪いは、新しいことをやるのを認めるかどうか」と書いている本がありましたが、まあ適当だな・・と感じます。

新しければいいわけでもないですしね。

【昨日の1日1新】
※詳細は→11新」振込ロボ(SBI)
申告ロボ

【昨日の娘日記】
前日の熱も下がり、保育園へ無事行けました。
また熱が出るかも・・と構えていましたが、最後まで元気に遊んでいたようです。

  • URLをコピーしました!